「操作性にもこだわっている」という新モデルは、ハンドルの形状を変更したのも進化ポイント。「グリップを大型化することで、手が入りやすいようにしました。また、ハンドル下にスイベルを設けたことで、従来モデルと比べて扱いやすくなり、掃除をしているときに軽く感じるはずです」。
さらに、ささやかな変化ではあるが、パイプ部分も改良した。モーターヘッドモデルでは、パイプの素材をアルミからプラスチックにすることで軽量化も図っている。
吸込仕事率 VS ゴミ集じん率
家庭用サイクロン式クリーナーの"元祖"ともいえる、ダイソンが日本に上陸したのは1998年。以来、紙パック不要、吸引力の強さが売りのサイクロン式クリーナーの代名詞として、ライバルメーカーからは研究対象となってきた。
「日本メーカーの対応は迅速。新しい製品を次から次へと出してきますね」とニロ氏。2010年8月には、国産初となるフィルターレス構造を採用したサイクロン式クリーナーも発売されているが、「もちろん、ダイソンでも他社の動向には目を光らせていますよ」と笑顔は崩さない。
日本では、吸込仕事率(吸い込む力の強さ)が重視される傾向にあったが、ダイソンはゴミ集じん率(実際にゴミを集める力)の大切さを訴え、独自のルートサイクロンテクノロジーで"吸引力が変わらない"という魅力を謳い続けてきた。
「掃除機の新モデルをみると、日本市場の考え方が変わってきている印象を受けます。吸込仕事率という数字を追い求めてきた時代が終わり、我々が提唱してきた"ゴミ集じん率"の重要性を意識しだしたのではないでしょうか」。
"オンリーワン"を武器に、日本市場で急成長したダイソン。「他メーカーがダイソンに近づいてきたとも言われますが、"吸引力が変わらない"という性能はまだまだ我が社だけのもの」という自信を裏付けるものは、他社とは比較にならないという膨大な製品テストに明け暮れた日々にあるのだろう。