デザインマネージャー、エイドリアーノ・ニロ氏。英国ノッティンガム大学にて機械工学専攻。スペインのデザイン会社を経て、2002年ダイソン入社。2008年後半からダイソン マレーシアにてAM02 タワーファン、AM03フロアーファンなどの開発に携わる |
「DC26」シリーズは、もともと日本市場にターゲットを絞り開発された"A4サイズの用紙に収まる"ほどコンパクトなサイクロン式クリーナー。この"最も小さなダイソン"の発売から約1年半の時を経て、日本の家庭環境用に改良された新製品が今回お披露目されたのだ。
2009年4月、DC26の発表直後から開発を開始したという新モデルでは「フローリングの多い日本家庭向けにヘッド部分を再設計しています。従来モデルから採用している、絨毯用の赤いナイロンブラシに加え、新たにカーボンファイバーブラシを取り付けました」。
ニロ氏によると、「日本は玄関で靴を脱ぐ習慣があるため、欧米とは室内のホコリの性質が違います」。欧米のホコリよりも、より細かいホコリが多いことに加え、"きれい好き"という日本人の特性も開発者にとっては大きな壁。日本市場向けクリーナーの開発には特に神経を使うという。
「開発の段階では、いろいろな素材を試しました。従来とは違うタイプのナイロンブラシを使用してみたり、大きさの異なるゴミや毛を吸い込んでみたり……。そんな試行錯誤の末に、行き着いたのがカーボンファイバーでした」。
カーボンファイバーは、コンピューター製造時などに電気部品を静電気から保護するために使用される素材。ヘリコプター、iPad、自転車、F1のレーシングカーなどさまざまな用途に用いられているカーボンファイバーだが、とりわけその帯電防止特性が、"フローリング掃除に最適"なクリーナーには、欠かせない要素だったのである。
「ナイロンブラシを用いた、一般的な掃除機ではフローリングを掃除する際に、ぐるぐるとブラシを回転させることで静電気を発生させ、ホコリが床に付着してしまっていました。髪の毛に風船をこすりつけると静電気が起こるでしょう? それと同じ現象です」。
従来のブラシに加え、カーボンファイバーブラシを追加。らせん状に2つのブラシが配置されることで、より細かなゴミを取ることができ、独立第三者機関の調査でも他社製品と比較して少なくとも15%以上ゴミを多く取り除くことが実証されているという。……次ページでは、ライバルメーカーの動向をニロ氏が語る!
「ダイソン カーボンファイバーDC26」発表会