そして迎えた登山当日。お茶、おにぎり、飴、タオル、ウェットティッシュ、ポータブルクッションなどをリュックに入れ、出発。そうそう、高尾山は人気スポットなので、混雑時には「ベンチに人がいっぱい! 」ということがよくあると聞いた。そこで、お弁当タイムや休憩時に使えるよう、用意した。防寒用に念のため撥水加工のソフトシェル(ジャケット)も用意し、リュックの中に入れておいた。

折りたたみ式のクッションは休憩時にもランチ時にも大活躍

登山開始1時間でヘロヘロに

ぐったり貧血中。道行く人々も「大丈夫? 」と心配するほど顔面蒼白

行きは6号路から。当初、1号路(表参道コース)を考えていたが、あまりの人の多さに6号路へと変更した。高尾山公式サイトによると、6号路は全長3.3km、上りの所要時間は90分とあった。登り始めると、ゴツゴツとした岩にトレッキングシューズのソールがうまく引っかかり、とても歩きやすい。調子に乗ってかなりのスピードで進んでいくのだが、徐々に傾斜がきつくなり、身長の低い私は手を使いながらの登山となり、スピードもタウン。ゼェゼェと息があらくなり、心臓もパンクしそうな程の苦しさである。汗はダラダラと滝のように流れ、ソフトシェルは出番の気配なし。1時間ほど経った頃には、やや気分が悪くなり始め、「やばい、貧血かも……」。高校時代は3年間50m走のタイムが9.6秒。そんな自分の運動神経&体力のなさをこの時ばかりは本気で呪った。

脇にそれてしばし休憩。水分と糖分補給も効果があったのか、幸い15分ほどで体力が回復した。その後は、ゆっくりと山歩きを楽しむよう心がけ、2時間30分かけて山頂へ。標準所要時間に比べると、1時間も長くかかってしまったが、無理なく楽しむことが一番だと感じた。自分の体力を考えずにハイペースで登ってしまうと、今回のようになってしまう。皆さん、肝に銘じてほしい。

高尾山山頂。雲がかかっていて見晴らしはそれほど良くなかったが、そんなことはどうでもいいくらいの達成感

下りは舗装された表参道コースを。歩きやすい道なので、20分ほどで下山した

正直、貧血を起こしたときはどうしようかと思ったが、やはり山頂に着くと、日常では味わえない達成感があった。また、山では人とすれ違うたびに「こんにちはー」と挨拶をする。60代くらいの方がスタスタを山を登っていく姿には驚いたが、貧血を起こせば心配してくれ、元気に歩いていると「まぁ、そのファッション素敵ね」なんて声をかけてくれたりもする。上京から約10年。こんなにもあったかい東京は初めてである。ちょっと感動だった。

達成感と、人との交流。この2つに病み付きになり、今週末も山登りを計画している。アウトドア用バックパックやレインウェア、ストックなど、今回用意していなかったが必要なグッズもまだ数多い。徐々に買い集めつつ、「難易度の低い山から攻めていこう」と考えていると、「実は私も山登りを最近始めたの」という人が続々。山の和がどんどん広がってきた。これから始まる紅葉シーズンは、登山のベストシーズンでもある。まだ山登り未体験の方も、これを期に始めてみてはいかがだろうか。