初めて経験したアニメ作品の総合プロデューサー。想像以上の手ごたえを感じる一方で、これまで経験したことのない苦労もあったという。
小山 : 「アニメーションは実写以上にいろんな人の手がかかっている分、修正がなかなか大変なんですよ。また、僕はアニメーション作品に関する知識があまりないですからね。監督が描いてきた絵コンテが脚本とは違うことがあったんですが、そこを指摘して"いや、アニメーションではこの場合、こういう絵の方がいいんですよ"と言われると、"そうなんですか"と言うしかない(笑)。アニメーションというのは難しいな、と思いましたね」
アニメーションは日本の資源のひとつのようなもの
その一方で、小山氏はアニメ作品ならではの無限の可能性も感じていた。
小山 : 「実写の場合は予算の関係で実現できない絵も出てきますよね。でも、アニメーションには物理的に無理ということがない。無限に作品の世界観を広げていけるという点で、アニメはいいなと思いました」
さらにもうひとつ、ソフトとしてのアニメの広がりにも強く惹かれているそうだ。
小山 : 「アニメーションは日本の資源のひとつのようなもの。国境を越えやすく、ワールドワイドの可能性が実写に比べて高いと思うんです。実は今回の『ハッチ』も最初からまずヨーロッパ圏を視野に入れていたんです。ですから、アミィの住んでいる街も敢えてヨーロッパの田舎町のような雰囲気にして、日本っぽくはしませんでした。実際に先日、イタリアのジッフォーニ映画祭でも招待上映されたのですが、作品を観た子どもたちが夢中になって席の上に飛び上がるなど、大盛況だったようです。日本で評価を得ることはもちろんですが、やはり海外で評価されるのは嬉しいですよね。僕は、世界の子どもたちに通用した時に初めて、この作品が本当のゴールを迎えられるような気がするんです。ただの懐かしいアニメで終わらない"広がり感"が得られるわけですから」
これまで放送作家、脚本家、東北芸術工科大学の教授など、さまざまな立場から国内に発信し続けてきた小山氏。彼は今、新たな舞台として"世界"をまっすぐ見つめている。今後は「できれば、世界で上映される映画を作っていきたい」とか。
小山 : 「日本の文化を世界に紹介できるような映画ができると嬉しいですね。紹介したい文化については、まだ秘密です(笑)。ただ、それを実写映画でできたら最高ですね。その時は、とりあえず脚本は自分で書きたいと思います。まだ分かりませんが、いつかは自分で監督をやることもあるかもしれませんね」
映画『昆虫物語みつばちハッチ 勇気のメロディ』は全国公開中。
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