サーモンだけじゃない、漁業大国ノルウェー

グルメな旅がしたい。そう考えたときに、渡航先として思い浮かぶのはどこだろうか。フランス? 確かに美食の国だ。イタリアもいい。エスニックが好きならばベトナムなど東南アジアもいいだろう。中国で本場の中国料理に舌鼓もよし。しかしここではあえて、北欧・ノルウェーを提案したい。「ああ、ノルウェーサーモンの」と片付けられてしまいそうだが、サーモンだけではない。タラやオヒョウ、アンコウなど魚貝のラインナップは非常に豊か。漁業大国ノルウェー。冷たく澄んだ海で水揚げされる新鮮な魚貝を堪能する旅に出てみてはいかがだろうか。

フィヨルドでも有名なノルウェー。冷たく澄んだ海は魚貝の宝庫

マルシェの写真ではありません。スーパーでもこんなに魚貝が豊富

サーモンにタラ、甘エビにサバ。これらはノルウェーシーフードの代表格である。北欧諸国へは、旅行でも出張でも行ったことがない人が多いと思うが、前述のようにノルウェー産の食材は頻繁に食卓に登場しており、実は馴染み深い国なのである。ここからは、魚貝料理を中心にノルウェーのグルメ情報をお伝えしていく。

スカンジナビア半島西側にあるノルウェー

寒風で乾燥させる名物・干しダラ

まず皆さんにご紹介したいのが干しダラ。北部ノルウェー、北極圏にあるロフォーテン諸島へ1月~4月頃に行くと、必ずと言っていいほど干しダラがズラリと並んで吊るされた棚を見かけることだろう。干しダラは「ストックフィッシュ」と呼ばれ、ノルウェーでは1000年以上前から食べる習慣がある。

下部に走っている青の破線から北側が北極圏。ロフォーテン諸島も北極圏にある

完成した干しダラは、フレッシュなタラ5kg分の栄養素がたったの1kgで摂取可能とのこと。干しダラは叩けばカンカンと音が出そうなくらいカチンコチン。この状態で10年は保存可能という。その分、戻すのもちょっと大変。水に1週間ほど漬けてようやく調理可能となる。バターソテーしてマスタードを添えていただいたり、トマトソースで煮込んだりと調理法は様々だ。

こんな風に民家の軒先でも干しダラを見かける

ロフォーテン諸島最大の町・スヴォルヴァールは特にタラ漁が盛ん。1月~4月に漁はピークを迎え、人口4,000人ほどの町にヨーロッパ各地から3,000~4,000人の漁師が集まる。しかし、ノルウェーの干しダラは日本ではあまりなじみがないかもしれない。それもそのはずで、約90%はイタリアへと輸出されるのだという。ノルウェー国内では空港などメジャーなスポットでも干しダラのチップスが売られている。タラの味わいがギュッと凝縮され、おつまみにピッタリ。お土産にオススメだ。

干しダラは戻すのに約1週間かかる。一般家庭でもレストランでも使われる

さて、他の魚というとオヒョウも有名。切り身で食べると「カレイ? 」と思うような味わいだが、カレイよりもっと大きな魚だ。体長は1m~2m。カレイと同様に淡白な味わいのため、クリームソースなどとあわせることが多い。北極海に生息する魚なので、ノルウェーに来てこそ新鮮なオヒョウがいただけるというものだ。他にはレッドフィッシュやアンコウ(モンクフィッシュ)、シーバスなどの白身魚もレストランで見かける。日本人にとってはサーモンのイメージが強いノルウェーだが、レストランで魚料理といえば白身魚も多い。

白身魚のオヒョウもノルウェーではポピュラーな魚。写真はサフランライスに肉厚なオヒョウとソースを合わせた一品

こちらはアンコウ。淡白ながらむっちりとした肉質。赤ワインのソースと共に