楽天証券は4日、東京都の両国国技館において、「楽天証券サービス開始11周年記念投資セミナー」を開催した。セミナーでは、小泉純一郎元首相と竹中平蔵元総務相が講師として基調講演。小泉氏は、石油ショックなどを例に挙げながら、「ピンチをチャンスにする力を日本は持っている」と熱弁を振るった。

「楽天証券サービス開始11周年記念投資セミナー」で基調講演を行った小泉純一郎元首相

いまだに続く"小泉人気"、日曜早朝でも多数の人が来場

楽天証券ではサービス開始11周年を記念し、東京と大阪で記念投資セミナーを開催することとし、東京会場では7月4日、大阪会場は7月10日に開催。4日開催された東京会場では、午前10時すぎから小泉元首相が講演するとあって、日曜日の早朝ながら、多くの人が会場の両国国技館に集まった。

セミナーの冒頭では、楽天証券 代表取締役社長の楠雄治氏があいさつ。サービス開始からの11年を、「マーケット的にも激動の11年だった」と振り返り、この11年間、「小泉・竹中時代が、日本が最も輝いていた時代」と述べた。現在の一般的な投資環境について、「安心してマーケットに投資するといっても、なかなか安心して投資できない」との認識を示した上で、楽天証券として、「どんどんグローバルな視点で、安心できる投資環境を提供していきたい」と抱負を述べた。

その後、小泉元首相が、「日本の歩むべき道」と題して基調講演。2009年の民主党政権誕生について、「一つの政党(自民党)がずっと与党の立場にあることのほうが異例」とし、「昨年の選挙で政権交代あって本当に良かったと思っている」とした上で、「一般会計・特別会計で、無駄を省けば15兆円や20兆円はすぐに出てくるというのは、ぜひやってほしいと思っていた」と、皮肉を込めて語った。

また、「国債発行を減らしますと言っていたが、手品でもマジックでもできないと思っていた」と話し、「やっぱりできなかった」と民主党政権が公約を守れていないことを批判。「仕分け事業はなかなか大事」としながらも、「兆円単位で無駄を削減するのは本当に大変」と、その実現の難しさに言及した。

高速道路の無料化「使っている人は喜ぶが、使わない人に税負担」

さらに、高速道路の無料化についても触れ、「使っている人は喜ぶが、使わない人に税負担させるもの」とし、「税金を(削るほうから)使うほうに戻っている」と述べた。その上で、「一番税金を使っている分野で、民間のさまざまな知恵を生かして、公務員でなくてもできるようにしようとした道路公団民営化と郵政民営化を逆走させている」と、"官から民へ"を実行した首相時代の政策を、民主党が反対の方向に向かわせていると批判。「子ども手当ても、『いりません』という家庭にまでやっている」とし、「『いりません』という家庭までやる必要はない」と、子ども手当てが税金の無駄遣いにつながると述べた。

「無駄と思われる点をカットしなければ新規政策はできない」と結論付け、「行財政改革をぜひやってもらいたいが、現実には、自公政権より国債発行を増やしている」と再び民主党の政策を批判した。

日本が今後とるべき道については、「日本はピンチをチャンスにすることがうまい国民」とし、「そんなに悲観的に考える必要はない」と述べた

日本の今後、「そんなに悲観的に考える必要はない」

日本が今後とるべき道については、「日本はピンチをチャンスにすることがうまい国民」とし、石油ショックを契機に、石油の備蓄や、省エネ技術や代替エネルギー開発を進めたことを指摘。また、寿司を握るロボットや、レアメタルを廃棄物から抽出する技術を日本が開発してきたことなどを挙げ、「そんなに悲観的に考える必要はない」と述べた。

最後に、戦前・戦後を通じて長期間にわたり政治家として活躍した"憲政の神様"尾崎行雄の例を引きながら、「自分の舞台が来ることを考え、そのために何らかの勉強・準備をしていくこと」の重要性を強調して、熱のこもった講演を終えた。