――ドラマの撮影において苦労したところはありますか?

「撮影でも一番苦労したのは蛍ですね。設定的にも難しいんですよ。女の子が演じているけど、あくまでも男の子ですし、沢木と幼なじみでもあるけど、常に寄り添う女の子のようでもある。役者さんには、『蛍は沢木のことが好きなんだと思うよ』みたいな説明をして演じてもらっているところもあります。そのあたりをきっちりと説明しておかないと、どうしても演技が迷っちゃうんですよね」

――そのあたりの関係性は原作を読んでいても難しいところですよね

「原作でもだいぶあいまいにしているところがあるので、ドラマでも同じようにあいまいにしておきたいところではあるんですよ。ただ、ある程度しっかり決めておかないと、演じるのがすごく難しくなってしまうんですよね」

――今回、岩本監督はシリーズ監督ということで、各話監督に森田さんと梨木さんが入っていらっしゃいますが、そのあたりの役割分担はどのようになっていますか?

「キャラクターの設定などは、やはり僕が主導でやっていますし、ドラマに方向性が出てくるところは僕が見ています。あとは任せる感じなのですが、シチュエーションとキャストのスケジュールにあわせて撮影を行ったので、監督が一日に三回も変わるということがありました(笑)」

――それはなかなか大変そうですね

「たぶん、ほかの現場では成立しないですね。よその監督はもっと主張が激しいと思いますから。そのあたりが上手くいったのは、事前に意思の疎通がしっかりとできていたところが大きいと思います」

――監督として、今回のドラマ『もやしもん』で注目してほしい観どころはどこですか?

「第一話は長谷川と沢木の対立といったところで終わらせているのですが、それが回数を重ねるごとに、理解を深めたり、より反発したりしながら、最後の11話でお互いの必要性がわかって、樹ゼミ全体としてもまとまりが出てくるといった流れでストーリーを作っています。なので、やはりシリーズを通して、各キャラクター同士の係わり合いや行く末についてを楽しんでもらいたいですね。逆に全11話という回数では表現しきれない部分は、原作にある要素でもばっさりとカットしています」

――ドラマ『もやしもん』は、沢木と長谷川を中心とした流れをピックアップした感じになるのでしょうか?

「そうですね。ヒロインに関しては長谷川に的を絞っているところがあります」

――アニメ版の『もやしもん』では、実写のオープニングが話題になりましたが、今作ではどのような感じになっていますか?

「オープニングは僕が担当しているのですが、今回も実写です。実はアニメ版のオープニングが実写だったので、実写版のオープニングはアニメにしようかという話もあったのですが、いつのまにかその話は流れてしまいました(笑)」

――それでは最後に番組を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします

「原作とちがうところも多々ありますが、これが実写版だという気持ちで作っておりますので、違うところを個性と捉えて、楽しんでいただけたらうれしいですね。ドラマ『もやしもん』をぜひともよろしくお願いします」

――ありがとうございました

ドラマ『もやしもん』制作中の「白組」の様子。岩本監督も自分のデスクで作業中



ドラマ『もやしもん』は2010年7月8日(木)よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始。放送時間は毎週木曜日の24時45分~(※初回放送は25時00分~)。関西テレビ、東海テレビ、BSフジでも放送される。

(C)石川雅之・講談社/ドラマ「もやしもん」製作委員会