太陽光発電協会(JPEA)およびSemiconductor Equipment and Materials International(SEMI)が主催する太陽電池に関する総合展示会「PVJapan 2010」が6月30日から7月2日までの3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催されている。

パシフィコ横浜の会場前に置かれた看板。今回は再生可能エネルギー 2010 国際会議も並行して開催されている

2009年6月に開催された前回に比べ、出展者数は8社増え、311社(含共同出展社)に、出展小間数は前回の599より72増え671へと拡大されており、主催者の見込みとしては約5万5,000名の来場者を見込んでいる。

展示会会場では、太陽光発電の川上から川下までを「太陽光発電システム/周辺機器」「太陽電池/応用製品」「各種施工」「検査/測定機器」「製造装置」「部品/材料/施設」の6ゾーンに分けて展示されているほか、特別展示エリアとして、「PV産業。市場の最新動向」「太陽光発電研究開発の変遷とこれから」「環境・エネルギー技術と人材育成ビジョン」「世界に羽ばたく高校生の手作り太陽電池」「図解 太陽電池製造工程」の5コーナーが用意されている。

今回は同展示会における、パネルメーカーの展示内容を中心にレポートをお届けしたい。

グループの力を活用し、a-Si太陽電池にも参入

パナソニック/パナソニック電工/三洋電機の合同ブースでは、三洋電機のHIT太陽電池を用いた国内住宅用215Wモジュール「HIT215シリーズ」などの展示が行われている。同モジュールの出力は215W、セル変換効率19.3%の太陽電池セルを用い、モジュール変換効率16.8%を実現している。

HIT215シリーズ

また、パナソニック電工が、7月1日より販売を開始する多結晶(a-Si)太陽電池モジュール「公共・産業用太陽光発電システム 208シリーズ」の展示も行われている。こちらは、パナソニック電工が性能などの仕様を策定、三洋電機が設計などを担当し、外部のa-Si太陽電池メーカーが実際に製造を担当したもの。

パナソニック電工が、7月1日より販売を開始する多結晶(a-Si)太陽電池モジュール「公共・産業用太陽光発電システム 208シリーズ」

モジュール効率は14.3%を達成しており、さすがにHIT太陽電池に比べては落ちるものの、他社の太陽電池モジュールと比べても遜色のない変換効率を実現している。

産業用途を中心とした適用を狙う計画で、これまでパナソニックグループとして培ってきたノウハウを活用することで、既築、新築の区別なく、工場や役所など、幅広く対応を図っていくほか、既築の場合には、従来の建物の施工者などとも協力し、重量などの問題に対しても対応を図っていくという。

なお、三洋電機では、HEV用リチウムイオン電池の生産を月産100万個規模で行う同社加西工場(2010年7月竣工予定)に1MWの太陽光発電システムの設置を進めており、さまざまな活用方法や設置方法などの実証を行っていく計画としている。

結晶から薄膜まで幅広いソリューションを提供

シャープのブースでは、一般住宅用、産業用など、幅広い用途に向け、それぞれに適した形での太陽電池モジュールの展示などが行われている。

産業用途には、結晶系および薄膜系の両方が展示。結晶系としては、参考出展として、190Wの出力が可能なモジュールが展示されている。こちらはセルを48個直列で接続し、変換効率14.4%を実現している(従来の180Wモデルは同数の直列接続で、変換効率13.6%)。

左が参考出典の190Wモジュール。右が従来の180Wモジュール。一番右の黒いのが産業用薄膜系太陽電池モジュール

また、特殊用途としては受注生産品として、薄膜太陽電池技術を応用したシースルーモジュールの展示も行われている。

薄膜シースルー太陽電池モジュールのデモ。向こう側が透けて見えるのが特長

シースルーモジュールは、合わせガラスを用いるタイプと、積層ガラスタイプの2種類を選択することが可能。セル1枚タイプで、モジュールサイズは985mm×620mm、公称出力33Wを実現しており、室内に太陽光を取り込みつつ、発電することが可能だ。また、セル1枚のみならず、セル3枚を超す大型モジュールや標準仕様より小型のモジュールなどのカスタム対応も可能となっている。