Android向けFennecは、Android OS 2.1以降をサポート。現在のところ国内向けの端末ではソフトバンクモバイルのHTC Desire、夏以降NTTドコモから発売予定のGalaxy S、同じくドコモのXperiaのOSバージョンアップ後の端末で利用できるようになる。Mozilla自身は、Fennecの開発でNexus One、HTC Droidを利用しているそうだ。

また、現在開発中のAndroid向けFennecでは、スマートフォンのタッチパネルに最適化したUIを採用している。画面に指を触れて下にスライドさせると検索機能を備えたアドレスバー(ロケーションバー)が表示され、右にスライドさせるとタブ一覧が、左にスライドさせるとメニュー画面が表示される。設定画面もタッチ操作に適したインタフェースになっており、さらにGeckoエンジンを搭載しているためロケーションバーに「about:config」と入力すれば、詳細な設定も変更できる。

右にスライドさせるとタブ一覧

左にスライドさせるとブックマーク追加などのメニュー表示

設定画面

about:configによる詳細設定画面

現在Fennecはベータテスト中で、MozillaのWebサイトからダウンロードできる。Nightly Buildとして随時ベータ版がアップデートされており、年末から来年にかけて正式版となる予定だ。

iPhoneでPCと同じサイトを閲覧できる「Firefox Home」

iPhone向けアプリとして開発されているのは「Firefox Home」だ。iPhoneでは、独自レンダリングのWebブラウザアプリは公開できず、Firefoxブラウザ自体は開発できない。その代わりにMozillaが開発中なのがこのアプリだ。

Firefox Homeのトップ画面

検索ボックスに入力すれば、ブックマークや閲覧履歴、同期されたタブから検索が行われる

iPhone向けのブラウザアプリは、ブラウザ上でスクリプトの実行やレンダリングを行うことが禁止されており、Operaブラウザはこれをすべてサーバ上で行ってアプリ側は単に表示するだけにしたことで、規約違反とならずにブラウザを公開できた。しかし、Firefoxはこれらをブラウザ上で行うため、アプリとしてはリリースできないのだという。

ブラウザタブの表示。これは別のマシン上で開いているFirefoxのタブが同期されている

同期されたブックマーク

設定画面

Firefox Homeは、Mozillaの新サービスである「Firefox Sync」をiPhone上でも利用できる。Firefox Syncは、Firefox上のブックマークやWeb履歴、パスワード履歴、設定などの情報をMozillaのサーバ上に暗号化して保存し、それをほかの環境でも同時に利用できるようにするためのものだ。現在のタブの状態も保存されるため、PCで表示していたタブを、ほかの環境でも同じタブを再現できる。

Webサイトを表示したところ。この表示はSafariを使っている

Safariを別途起動したり、URLをメール送信したりできる

Android板FennecにアドオンとしてFirefox Syncを導入すれば、同じ情報がAndroidでもiPhoneでも閲覧できる

Firefox Homeは、このブックマーク、Web履歴、タブの状態を同期するアプリで、サイトの表示自体は内蔵のSafariブラウザを利用し、PCと同じブックマークやタブの情報を閲覧できるようにした。ただし、閲覧専用のアプリで、ブックマークを追加したり、開いたサイトのタブを別の環境に同期することはできない。内蔵SafariからSafariを起動して表示したり、URLをメールで送信することは可能だ。

Firefox Home(左)とFennecでの表示の違い

Firefox Syncは、Firefox 3.6向けにはアドオンの形で提供され、次期バージョンFirefox 4以降は標準で搭載される。Sync用のサーバもFirefox Homeをはじめとしたクライアントもすべてオープンソースのため、開発者が自分の環境に組み込むことも可能だ。Mozillaでは、今週中にもApp Storeに対して申請を行い、その後申請が通ればApp Storeで公開される予定だ。

Mozillaでは、Fennecにおけるマルチタッチのサポートやフォーム入力アシスタントの追加、タッチパネルならではのUIの構築、Flashなどのプラグイン対応といった機能追加を検討しており、今後も機能向上を図っていく考えだ。