AndroidとiOSを比較すると、何が見えてくる?
次にAndroidについて見ていく。Androidは北米でのシェアが極めて高いことが知られている。ローンチ期間で他国に比べて半年~1年ほど先行しているほか、各社の主力製品が米国キャリアを中心に展開されていることにも由来するだろう。シェアトップは米国の66%で、それに中国が13%、英国が4%、フランス/日本/ドイツの3カ国が2%で続く。カナダを合わせれば、Androidは北米市場だけで全世界の約7割のシェアを占めていることになる。
Androidに関してもう1つ面白いのが、機種ごとのシェア分析だ。機種別シェアトップはMotorola Droidの21%で、それにHTC Heroが16%、HTC Magic(日本ではNTTドコモのHT-03A)が10%、HTC Dreamが9%、HTC Droid Erisが8%で続く。GoogleのNexus One(開発・製造はHTC)はこのランキングだと2%のシェアで10位となっている。全体のメーカー別シェアは53%がHTCでトップとなり、それにMotorolaが30%で続き、ほぼ市場の8割以上を独占して圧倒的だ。実際、先ほどのトップ10に登場するメーカーでHTCとMotorola以外では、Samsung Momentが5%のシェアで6位に登場するのみで、他のメーカーはまだAndroid市場で成長前の段階にある。この3位のSamsungでさえ9%のシェアだ。ある意味で、未成熟な市場であることを示しているだろう。
2010年5月時点のAndroidの国別シェア(出典: AdMob May 2010 Mobile Metrics Report) |
2010年5月時点のAndroid端末の機種別シェア(出典: AdMob May 2010 Mobile Metrics Report) |
以上を踏まえたうえで、iOSとAndroidの比較に移ってみよう。ここでAdMobが出している端末の台数シェアは、同社の広告ネットワークを介して得られたユニークユーザー数から算出している。例えば米国内では、Androidのユニークデバイス数が850万台なのに対し、iPhoneでは1,120万台、iOS全体では1,930万台となる。これだけを見るとAndroidデバイスがiPhoneを逆転するのも間近のようにみられるが、世界全体ではまた事情が違ってくる。ワールドワイド全体の集計では、Androidのユニークデバイス数が1,270万台なのに対し、iPhoneは2,930万台、iOS全体では4,380万台に上る。米国でのデータと比較して両者には倍以上の差があり、iOSは世界全体に浸透しつつあるのに対し、Androidはまだ発展途上にあることを示している。前述のようにAdMob側の調査方法やAndroidに対するバイアスの問題こそあるものの、おおよその端末普及度の傾向はわかるはずだ。