MS KINECTに続きSCEも……「PlayStation Move」をデモ

そして今回のもう1つの目玉が「PlayStation Move」だ。技術自体はすでに3月のGame Developer Conference (GDC)で公開済みであり、今回のイベントではソフトウェア対応状況と価格、登場時期の話題が中心となる。任天堂の「ニンテンドー3DS」とは3D技術がバッティングするのに対して、こちらはMicrosoftの"Natal"改め「KINECT」がライバルとなる。

そしていよいよ「PlayStation Move」の紹介。マイク型の専用コントローラがMoveの特徴だ

KINECTとMoveの最大の違いは、コントローラの有無にある。KINECTでは画像をキャプチャするカメラと深度を測る3Dセンサー、そしてボイスコマンド用の集音マイクを使って、完全に人のモーションのみでゲームやメニューをコントロールしている。ところがMoveでは、TV側に設置するセンサーのほか、マイクのような形状の専用コントローラ(PlayStation Moveモーションコントローラ)、そしてゲームなどで移動を指示する十字ボタンつきの補助コントローラ(PlayStation Moveナビゲーションコントローラ)といった、3つのハードウェアを組み合わせたシステムとなっている。暴力的にいえば、組み合わせ自体は任天堂のWiiにおけるリモコン+ヌンチャクに近い。ただし、センサーの感度としてはMoveのほうが性能が高く、より精密な動きを指示できる。

そうしたMoveの特徴と使い方は、実際にイベントで紹介された2つのサンプルを見てみるとわかりやすい。『Sorcery』と『Tiger Woods PGA Tour 11』という2つのゲームだが、前者が魔法アクションで、後者がゴルフゲームとなる。『Sorcery』ではコントローラを振ると、ゲーム画面内のキャラクターも同様に魔法の杖を振るう。これでコマンドを選択しつつ、魔方陣を描いたり、魔法の有効範囲を指示することで、より複雑な合成魔法による大攻撃などが可能になる。モーションセンサーとアクションをうまく組み合わせた例だといえるだろう。

一方の『Tiger Woods PGA Tour 11』では、見た目どおりコントローラのスイングがそのままゴルフクラブのスイングに直結する。従来のモーションセンサー付きゴルフと違うのは、クラブを振る角度を含めて、動きがかなり緻密に設定されていることだ。タイミングよくフルスイングすればナイスショットになるわけではなく、コントローラを振る角度が少しでもブレれば、ミスショットでペナルティとなる。デモの中ではバンカーショットやOBも連発しており、なかなか難しい印象を受けた。

そして気になる登場時期だが、欧州が9月15日、米国が9月19日、日本が10月21日となっている。日本だけ1カ月以上遅れるのは残念なところだが、日本向けソフトのラインナップが揃うための準備期間だと考えれば仕方がないことかもしれない。なお価格は、米国でPlayStation Move モーションコントローラが49.99ドル、PlayStation Move ナビゲーションコントローラが29.99ドルとなっている。ソフトを組み合わせたバンドル製品も用意されており、『Sports Champion』とのバンドルが99.99ドルとなっている。なお、さらにプレイステーション 3を加えたバンドルが399.99ドルとなっているようだ。ステージ上には北米のPlayStation CMではお馴染みの、SCEの架空のPR担当役員Kevin Butler氏が登場し(演じているのは俳優のJerry Lambert)、PlayStation Moveのアピールを行った。

日本での発売は10月21日。欧米より1カ月遅れの発売で、かつ4カ月以上先の話だが、ソフトの発売とともに是非期待して待っていよう

北米のPlayStation CMではお馴染みの、SCEの架空のPR担当役員Kevin Butler氏が登場し(演じているのは俳優のJerry Lambert)。観衆の反応からして、北米のゲームファンの間ではけっこうな人気者のようだ。日本でいうセガの湯川専務みたいなものか?



以上がSCEAプレスカンファレンスでの発表内容のレポートだ。実は同イベントの後半は、ほとんどがプレイステーション 3ならびにPlayStation Network、プレイステーション・ポータブルのソフトウェアラインナップ紹介に費やされていたのだが、ラインナップが北米対象のものが中心で、日本向けとしてはわずかに『Final Fantasy XIV』が紹介されたのみだった。E3自体が米国のイベントという理由もあるのだろうが、発表内容がほとんど北米向けに偏っていたという印象が強い。逆にいえば、SCEから日本向けには別の機会にきちんとした発表会やお披露目会が開催され、そこでMoveや3Dを絡めた新作ラインナップが改めて紹介される可能性が高いのかもしれない。秋以降の発表に期待だ。