売上落ち込みにも値下げではなく、付加価値プラスでV字回復

――ところで、創業はラーメン店ですが、いつ頃からアルコールも楽しめる居酒屋的要素が加わったのでしょうか。

「質の向上なくして企業の成長なし」がモットーと語る高橋社長

「日高屋」第1号店(新宿東口店)オープンが2002年で、この頃からですね。当時は、ラーメン店で、手づくり感のある炒め物からつまみメニューまで幅広く揃える店が本当に珍しかったんです。そういったスタイルが受け入れられていき、2004年には売上高100億円を突破しました。

――その後も順調に業績を伸ばされ、2009年には売上高200億円突破。その頃から餃子のおいしさも変わりましたよね。

餃子は近年、段階的にレベルアップしてきました。まず2008年夏に、餃子の皮とあんを変えて品質を向上、2009年夏には、餃子の焼き器を全店舗一斉に刷新しました。これまでは蒸してから焼くタイプだったものを、圧力を加えて急速に加熱温度を上昇させるタイプに切り替えました。5分弱の短時間調理で、かつおいしさも格段にアップしました。

皮とあんの改良、焼き器の刷新でレベルアップした餃子

――好調期も品質見直しに余念がありませんね。

餃子に限らず、商品クオリティの向上には常に積極的に取り組んでいます。2010年4月からはラーメンのスープも見直し、旨味やコクが今までより感じられるよう改良しました。"質の向上なくして企業の成長なし"。それが当社のモットーです。昨年末頃、不況不況と叫ばれていたときも、弊社は値下げ競争には参戦しませんでした。それは、クオリティに自信があったから。おいしいものを求めて、きっとお客様は店に戻ってくると信じていました。

――それも業績好調な要因ですね。

「上場10周年感謝キャンペーン第1弾」のPOP

しかし、実は昨年11月には大きく売上が落ち込みました。既存店売上高前期比で92%程度にまでです。しかし、2009年11月20日~12月20日の1カ月間、「上場10周年感謝キャンペーン第1弾」として、麺類を注文された方に無料で温泉玉子1個をサービス。1日に温泉玉子を6万5,000個もサービスした日がありました。もちろんその分、コストはかかりましたが、売上高はその後、見事にV字回復を果たして12月には98%程度に、2月には100%を超えました。

――高橋社長は2009年5月に社長就任されました。それまでは営業の第一線で会社を牽引されてきたわけですが、いま感じていることは?

私が大事にしている言葉がありまして。「生涯、小僧の心で生きる」です。社長になっても、決してうぬぼれることなく、子ども(=小僧)のような純粋な気持ちを持ち続けていこうと。今まで同様に、お客様や社員のことを第一に考えていきたいと、改めて思っているところです。

――今後の展望を教えてください。

現在は年に30店ペースで「日高屋」をオープンしていますが、今後も出店を重ね、500店舗体制を築くのが目標の1つです。そのためにセントラルキッチンである行田工場の建設には約20億円を投じています。そして一方で、新ブランドである立ち飲み店「焼鳥日高」を立ち上げるなど、新業態の開発にも注力していきます。「ハイデイ」とは、「ハッピーな一日」という意味。これからも皆様に飲食を通して"ハッピー"を提供していけるよう、社員一丸となって精進して参ります。

――ありがとうございました。