「日高屋」を展開するハイデイ日高、7期連続で増収増益
7期連続で増収増益の快進撃を続けている飲食企業がある。ラーメンメインの中国料理チェーン「日高屋」が主力業態のハイデイ日高だ。売上高は前年同期比13.3%増の226億8千万円、営業利益は前年同期比27.3%増の23億300万円と好調な数字を叩き出している。
「日高屋」は2010年2月現在236店舗(フランチャイズ3店舗除く)を東京や埼玉など関東圏で展開。目を引くのは「中華そば」。390円というリーズナブルさである。野菜が山盛りになった「野菜たっぷりタンメン」は490円。野菜高騰の今日、やはりお得感のある内容だ。餃子は190円。大振りでジューシーな味わい。他に、「おつまみチャーシュー」(280円)や「皮付きポテトフライ」(190円)、「ゴボウ揚げ」(190円)などちょっとつまめるアイテムが揃っているのも特徴だ。ということで、アルコールも生ビール中ジョッキ(390円)、「ハイボール」(260円)、サワー・酎ハイ各種260円と一通り揃えている。ちょっと飲んで、ちょっとつまんでといった"ちょい飲み"ができる店なのだ。しかもシメのラーメンまであって、1軒で飲みから食事までが済んでしまうというなんともうれしい業態。それが「日高屋」である。
さぞかしサラリーマンでにぎわっていることだろうと店をのぞくと、夜はサラリーマンだけではなく、カップルや学生と思われる若い男性も来店していた。昼間になると60代~70代の人たちや子供連れの若いお母さん層の姿も。非常に客層が幅広い。
ハイデイ日高の創業は1973年。埼玉県さいたま市で、5坪のラーメン店からスタートしている。創業から38年目を迎える同社が過去最高益を記録し続けている理由はどこにあるのだろうか。ハイデイ日高代表取締役社長・高橋均さんに好調の秘訣をお聞きすることとした。
安さだけではなく、時代のニーズも取り込んだ料理の数々
――まずは「日高屋」の人気メニューを教えてください。
人気No.1は「野菜たっぷりタンメン」です。POPで「1日分の野菜350gが摂れる! 」と謳ったところ、分かりやすいアピール法だったらしく、非常に売れ行き好調です。餃子や唐揚げなど一品ものはつまみのアイテムとして、「野菜炒め定食」(550円)をはじめとした定食メニューも食事利用の方に好評です。平均客単価は700円程度ですね。
――看板メニューであるラーメン商品のこだわりは?
「日高屋」は、現・代表取締役会長の神田正がラーメン店「来来軒」を開業したのが始まりです。セントラルキッチン方式は採用していますが、試行錯誤の後に完成した豚骨と鶏ガラをベースとした秘伝のスープを使用し、低価格ながらも素材にこだわったラーメン商品を揃えています。
――駅前立地も特徴的ですね。
昔懐かしい、駅前にあってフラリと立ち寄れる中華食堂が「日高屋」のコンセプトです。駅前一等地出店には創業当時からこだわっています。
――駅前の一等地に出店しながら低価格商品を提供できるのはなぜでしょうか。
理由はいくつかありますが、まずセントラルキッチンと連携することで、食材を一括して仕込むなど、独自の"ローコスト・オペレーション"を構築していることが挙げられます。次に、直営店をメインに展開していること。「日高屋」並みの価格で駅前立地というラーメン業態は他にないでしょう。
――となると、競合は大手ファストフード店や牛丼チェーン店などになりますか。
マーケット的には、そういうことになってくるかもしれませんね。しかし、営業の現場に25年もいた私の経験から言うと、そういったライバル店との競争よりも、"時代との競争"が一番重要なのだと思っています。常に時代のニーズを掴んだ商品やサービスを提供し続ける姿勢がとても大切で、その結果が現在の業績に表れているのだと思います。
――例えば、これまでどのように"時代との競争"に打ち勝ってきたのでしょうか。
いまのトレンドの1つとなっているのが"健康"です。ヘルシー感のある食材を取り入れたメニューが支持される傾向にあります。日高屋では、2010年4月下旬から「黒酢しょうゆ冷やし麺」(490円)を提供して好評をいただいておりますが、実は健康食材である黒酢を使ったメニューは、当社では10年以上も前から提供しているのです。時代の流れを先読みし、いち早く導入してその効果を検証しているのです。そしてそれを何度も繰り返してきました。
――10年前から黒酢メニューを導入。確かに早いですね。
前述の人気No.1メニュー「野菜たっぷりタンメン」も健康ブームを意識して、5年前から用意していた定番メニューです。ここにきて、健康志向が一層強まっており、「1日分の野菜350gが摂れる! 」というPOPを2010年3月から使用しております。
――メニュー開発はどういった方がされているのですか。
実は私ともう1人で行っています。たった2人で季節メニューは年間3~4回、コンスタントに投入しています。