Windows PCの機能をそのまま持ち込んだタブレット
米Apple CEOのSteve Jobs氏がiPadで指摘したように、この種のデバイスはコンテンツの消費をメインとした"受け身"な使い方に向いているとされる。これはShih氏も認めており、今後登場するであろうタブレット型デバイスの多くはこの目的のためにリリースされることなるだろう。だが単純にタブレットといっても使い方は千差万別で、これを利用してビジネスや学習に活用したり、あるいはクリエイターが何かしらの作業をすることも考えられるだろう。ASUSのタブレット戦略はこの点に他社と大きな違いがある。
まずタブレットとしての利用だけでなく、ドッキングステーションとの利用でノートPCとしても利用できたり、あるいは据え置きドックを利用してデスクトップPC的な活用ができたりと、適時用途を使い分けられる"マルチモード"型デバイスである点だ。この種のデバイスにキーボードは邪道という意見もあるだろうが、ノートPC型の専用ドッキングステーションとの組み合わせでバッテリ駆動時間を10時間超まで引き延ばしたり、据え付けドックで接続可能なコネクタの数を増やしたりと、タブレット単体でのデメリットを補完できる。一方でディスプレイのみ取り外せばタブレットとしてモバイルでの活用が容易になるわけで、PCからの過渡的なデバイスとして、こうしたソリューションは緩衝材としてよく機能するだろう。
そこでASUSが発表したのが「Eee Pad EP121」。フル規格のWindowsとデュアルコアプロセッサを搭載した高パフォーマンスモデルで、既存のアプリケーションや周辺機器がそのまま使える。タブレットとしてはもちろんのこと、キーボードとドッキングステーションの併用で据え置き型マシンとしても利用できる |
Eee Padには2種類のモデルがあり、12インチタイプの「EP121」と10インチタイプの「EP101TC」が用意されている。EP121はいわゆるCULVのCore 2 Duoプロセッサが搭載されており、OSにWindows 7 Home Premiumとフル機能PCそのもののスペックを持っている。タブレットとしての身軽さは減るものの、既存のアプリケーションや環境をそのまま利用したいというユーザーに向いているだろう。もう1つのEP101TCは675グラムの本体重量に12.2ミリメートルの本体厚と、比較的モバイル性を重視したモデルだ。こちらはWindows 7の組み込み版である「Windows Embedded Compact 7」(旧Windows CE)が搭載されており、フルPCではなく、組み込み仕様のモバイルデバイスといった扱いだ。プロセッサは不明だが、ARMベースのいずれかの製品を採用している可能性がある。
このように、ASUSのタブレットは競合他社と比較して全体にサイズが大きく、フルWindows PCとしての機能を重視したラインナップ構成となっているが、これは一般ユーザーに広くアピールするよりも、プロフェッショナル層やビジネス層をある程度ターゲットに置いた戦略だとみられる。