タブレット百花繚乱といったイメージの色濃かったCOMPUTEX TAIPEIだが、ここでは会期前に開催された台湾ASUSTeK Computerの発表会で登場した「Eee Pad」「Eee Tablet」を紹介しつつ、同社の考えるデジタル・ハブ構想について考察してみよう。
クラウド構想を補完するデバイス
5月31日に開催されたMSI、NVIDIA、ASUSの事前発表会では、3社ともにタブレット型デバイス(もしくは対応コンポーネント)を発表し、その取り組みをアピールするといった状態で、今年最大の目玉が同種のデバイスであることを色濃く印象付けた。同日最後となる発表会に登場した台湾ASUSTeK Computer会長のJonney Shih氏は、R.O.G. (Republic of Gamers)における最新ゲーミングマシンでの取り組みや最新ビデオカード、省電力を強化して環境への配慮を行ったマザーボードによるグリーンITへの取り組みなど、マザーボードメーカーとしては最大手の1社であるASUSらしい製品の数々をアピールした。だが一方で新分野への取り組みも強化しており、それが「スマートフォン」「タブレット」「クラウド」となる。
インテリジェントな作業デバイスはPCの枠に収まりきらず、現在ではスマートフォンなど、モバイルデバイスをはじめ各種組み込みデバイス市場へと展開しつつある。HPやDellなどPCメーカー大手がスマートフォンや組み込みデバイスへの取り組みを強化しつつあるなか、ASUSもそのトレンドにおいて例外ではない。「Garmin-Asus A10」はその取り組みの成果の1つであり、カーナビメーカー大手のGarminとの共同で開発されたA10はAndroidを搭載したスマートフォンで、強化されたGPS機能により、Android標準のTurn-by-Turnナビゲーション機能がさらに有効利用できるという。またAndroidデバイスのため、Marketによるアプリ拡張やGoogle各種サービスの利用などが容易だ。
A10はAndroidをベースとしたスマートフォンのため、Google Mapsや電子メール、Picasaなどの写真共有サービス、各種SNSなどを手軽にそのまま利用できる。Android Marketでアプリを入れて自由に拡張できるのもAndroidならではだ |
ASUSのスマートフォン戦略が意味するのは、ハードウェアを中心としてのエコシステムではなく、クラウドというサービスとインフラの枠組みに沿ったデジタル・ハブ構想だ。用意された各種サービスや蓄積されたコンテンツをクラウド側に置き、これを各種デバイスから自由に利用できる環境を用意することにある。もちろんPCやスマートフォン単体ですべての用途を満たせるわけではなく、適材適所でハードウェアが存在するということだ。また、いまだカバーできていない領域もあり、これを埋めるのが今回発表された「Eee Pad」「Eee Tablet」となる。