今年のASUSブースは、いつもながら会場内の巨大なスペースを占めており、しかも、かなり"尖った"製品の出展も多く、豊作。その展示内容は、総合PCメーカーを標榜しているだけあり、マザーボードやグラフィックスカードといったパーツから、PC本体、タブレット端末にいたるまで、幅広い新製品がお目見えしていた。
注目のタブレット端末「Eee Pad」と「Eee Tablet」
何年も前から似たようなハードウェアは開発されていたが、iPadの登場で急激にブームの兆しを見せはじめたタブレット端末。今回は台湾勢も積極的に製品を投入するようだ。ASUSがこのジャンルの新製品として出展していたのは「Eee Pad」と「Eee Tablet」で、Eee Padはその名の通り、ASUS版のiPadとでも言うべき端末。Eee Tabletはモノクロのタッチパネル液晶を備えており、一見するとKindleの様な電子ブックリーダーなのだが、実は表示部はTFT液晶であり、電子ペーパーでは無いという、少し特殊な端末になっている。
Eee Padは12インチサイズの「Eee Pad EP121」と、10インチサイズの「Eee Pad EP101TC」の2モデルが紹介されていた。サイズだけでなくハードウェアの内部構成が異なっており、12インチのEP121ではCPUにCore 2 Duo、OSにWindows 7 Home Premiumを採用するなど、ノートPCライクなスペックを備えている。さらに同モデルは、キーボード部を備えるドッキングステーションもバンドル予定で、ドック接続時の見た目はまさにノートPCそのもの。バッテリ駆動時間は試作段階で3時間、ドック接続時6時間だが、製品化の際にはもっと伸ばすことを目標に改良中だそうだ。発売は2010年Q1で、日本も含めた全世界同時発売。価格は未定だが499ドルの価格帯で検討中とされていた。
一方の10インチのEP101TCは、OSがWindows 7ベースのWindows Embedded Compact 7、CPU(GPU)はSoCのNVIDIA Tegra T20となっており、OSにAndroidを採用したバリエーションも検討中とされていた。12インチモデルに比べると、スペックやバッテリ駆動時間、サイズ(厚さ12.2mm)/重量(675g)など、より"今流行り"のタブレット端末に近いと言えるのは、この10インチモデルの方だろう。
Eee Tabletは、前述したように電子ペーパー風に見えるタッチ機能付きモノクロ液晶を備える端末。8インチサイズの液晶の解像度はXGAで、速記も可能と思われる高認識のメモ帳として使えるほか、テキストやPDFなどの表示端末としても利用できる。表示端末として利用する際に重要な画面リフレッシュの反応速度が、電子ペーパーでは無くTFT液晶なので、段違いに高速だ。バッテリ駆動は10時間以上可能とされており、カメラ機能や音声レコーディングも可能。使い道は、どちらかといえばビジネス向けになるのだろう。発売時期等は現時点では未定だが、価格は199ドルくらいになるとのことだ。
なお、詳しくは別レポートでお届けするが、タブレット端末について、今回のトピックはハードウェアだけでない。ASUSからは、Apple社がApp Storeで成功したように、サービス面もセットで展開していくという構想が明らかにされている。またASUSに限らず、台湾主要メーカーの関係者からは、「単なるハードウェアメーカーからの脱却」といった声を多く聞いた。大きなマーケットが期待される電子書籍をはじめ、高機能化する個人端末向けサービスの世界的な主導権争いは、今後さらに激化するものと予想される。