さて、このメディアタブレットの市場だが、そのブレイクのきっかけとなったiPadについて改めて振り返ってみたい。RBC Capital MarketsのアナリストMike Abramsky氏によれば、米国におけるiPadのこれまでの販売台数は、iPhone 3GSの2010年第1四半期における米国での販売台数246,000を下回る水準ではあるものの、週あたりのMac販売台数の倍のペースで順調に販売を積み重ねているという。特に3Gモデルの品不足が目立っており、米国の全Apple Storeのうちの4分の1以上で3Gが品切れ、Wi-Fi版も残りわずかという状況が続いているようだ。
また、5月に新規リリースされる9ヵ国での事前販売台数が60万台に達しており、同氏は2010年内のiPad販売台数予測を当初の500万台から800万台に引き上げたという。もしAbramsky氏の予測が正しいのなら、前述のIDCにおける数値予測の大部分はiPadの販売台数ということになるだろう。Abramsky氏の投資家向け資料の内容はAppleInsiderで確認できる。ちなみに同氏の日本における2010年内の販売台数予測は476,000台となっている。
iPadパッドの影響を受ける製品
現時点でiPadの販売が順調なことはこれで確認できたが、一方で潜在的なテーマとしてあるのは、iPadの販売増と引き替えにどの製品の販売が悪影響を受け、場合によってはAppleの製品同士で内部競合の末に共食い現象を引き起こすのかという点だ。以前のレポートでは、iPad登場で最も影響を受けたのはiPodとネットブックの市場であり、Macには現時点で顕著な影響は見られないという結論だった。今回のAbramsky氏の予測によれば、iPadがApple製品販売を侵食する割合は25%になるものの、売上的には前年同期増を見込んでいるという。これはMacといった製品より、iPodなどのiPadより低価格な製品が侵食される可能性が高いという点で、前回のレポートのMunster氏の予測と一致している。
Macのシェアが増加?
これについては面白いデータがある。オンライン広告企業のChitikaが発表した最新OSシェアデータで、なんと2010年4月にMac OS Xのシェアが急増している。3%の上昇のため、シェア全体からみれば微々たるものかもしれないが、4月のデータでWindowsのシェアが3%以上ちゃっかりと減っている点も興味深い。確かにMac販売が4月に伸びていることはMunster氏のデータからも確認できるが、これは一種のiPad効果といえるのだろうか?