音声ナビを活用した擬似エンジン音

エプソングループのブースでは、セイコーエプソン、エプソントヨコム、エプソンアトミックスの3社が合同でソリューションの展示を行っている。

エプソントヨコムのブースでは、開発中の製品として独自の水晶MEMS(QMEMS)を活用した小型高精度気圧センサの展示を行っている。7.0mm×5.0mm×2.0mmのパッケージに搭載されており、30~130kPaの範囲に対応。分解能は0.3Paで、応答性はモードにより異なるが0.2~0.8秒程度。「SiによるMEMSに比べてバラつきが少ないため、後段のフィルタなどが不要になる」(説明員)としており、10cmの高低差でも気圧の違いを即座に導き出すことが可能な高分解能、高速応答性を武器にナビゲーションの高さ方向の補助や燃焼系のコントロール補助などでの採用を狙うとしている。現在、開発が進められており、2011年度頭には量産したいとしている。

QMEMSを用いた小型高精度気圧センサのデモ。右画像の上がQMEMSを用いたときの気圧変動

一方のセイコーエプソンブースでは、HDR(High Dynamic Range)センサチップセットを活用した車載カメラソリューションや音声ガイドLSIを用いた音声ソリューションの展示が行われている。

カメラソリューションは、最大4台のアナログカメラを接続することができる車載向けマルチカメラインタフェースIC「S2D13P04」、2つのLCDパネルを同時制御し画像データの歪みや輝度補正、3Dグラフィック表示などが可能なディスプレイコントローラ「S2D13515」、明暗の差が大きい条件下でも確実な撮影を可能にするHDRセンサチップセットの3つを組み合わせたもので、前後左右に取り付けられたカメラで取得した映像を1枚のLCDに表示するというもの。

左がHDRセンサチップセットを搭載した車載カメラ、右がそうして撮影された画像を処理するボード

中でも開発中のHDRセンサチップセットは、これまで複数素子を組み合わせて実現していた回路を1チップ化したもので、ダイナミックレンジ120dBを実現しているほか、専用画像処理DSPにより白飛び、黒つぶれなどなく短時間/中時間/長時間の3枚の露光画像を合成し、独自トーンマッピング技術によりくっきりとした動画を30fpsで生成することが可能となっている。

また、音声ソリューションは、音声ガイドLSIを活用して、速度に応じて加速していくエンジン音や「バックします」といった音声を擬似的に発するというもの。EVやHVのモータ走行が静かなことから、擬似音を出して歩行者などに存在を認知させようという取り組みが始まっているが、そうした要望に応えるソリューションとなっている。

Cortexを用いたディスプレイコントローラを開発中

東芝のブースでは、同社の車載製品一覧として各種半導体やディスプレイ、モータのほか、製造システムまで書かれたパネルが展示されている。また、車載ネットワーク向けソリューションやディスプレイ向けコントローラなどの展示も行われている。

車載ディスプレイ用コントローラのデモは、同社の3Dグラフィックスエンジン「G2」シリーズを用いたもの。ハイエンド向けの「G2 Core」はOpenGL-ES 2.0に対応し、200MHz駆動時で100Mポリゴン/秒、800Mpixel/sを実現したもので、モバイル向けの「G2 Lite」も開発されている。こちらは、同じくOpenGL-ES 2.0に対応し、200MHz駆動時で50Mポリゴン/秒、400Mpixel/sを実現したものとなっており、同社が開発を進めている次世代ハイエンド向け車載ディスプレイ用コントローラに搭載される予定となっている。

この次世代ハイエンドディスプレイコントローラはCortex-A9 MPCoreが採用され2Dと3Dの表示に対応することが可能だ。また、ローエンド向けとしてはeDRAMを搭載し、Cortex-M3を用いたCPUソフトウェア描画でグラフィックスを表示するものも開発がされている。

各種制御向けデモボードなども展示されている

3Dグラフィックスを活用した全周囲立体モニタ

富士通セミコンダクタのブースでは、富士通研究所の開発成果を活用した全周囲立体モニタシステムのデモが行われているほか、LCDを活用した各種ソリューションの紹介などが行われている。

全周囲立体モニタシステムは、同社の3Dグラフィックスコントローラ搭載LSI「MB86R01」を活用して車両に取り付けた4方向のカメラ画像を3次元モデル上で合成することで、全方位を自由な視点で表示することが可能となるシステム。

3Dグラフィックスコントローラ搭載LSI「MB86R01」を活用した全周囲立体モニタシステム

同LSIとFPGAを組み合わせたプロトタイプシステムを活用することで評価を行うことが可能なほか、次世代グラフィックスLSIを活用した1チップソリューションも実現可能だという。

一方のTFT活用ソリューションは、各種グラフィック処理が可能な同社製SoCを用いてダッシュボードのすべてをグラフィカルな表示にしたり、複数のLCDの別々の画像表示の処理を行ったりするというもの。

各種TFT-LCDを用いた表示ソリューションも複数展示されている

なお、同社ではこれらのほか、1394 Automotive コントローラLSIによる高品質映像の車内伝送デモやAUTOSAR/JASPARの開発環境などの展示も行っている。