5月19日から21日の3日間、神奈川県横浜のパシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展 2010」が開催されている。今年の出展社数は365社(800小間)で、こうした各社の技術展示のほか、主催者特別企画として"低炭素社会の実現に向けて ~街に走り出すエコカー~"をテーマに、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)、電動自転車などの試乗ができるプログラムなどが用意されている。今回は、こうした同展において、カーエレクトロニクスという視点のレポートをお届けしたい。
将来のクルマ社会をイメージした特別展示
特別企画展示のテーマは先述した"低炭素社会の実現に向けて ~街に走り出すエコカー~"というものだが、EVなどの試乗のほか、会場内では「これからのくるま社会とくらし、くるまの技術革新」と題されたエコカーに関する展示が行われている。
具体的には高燃費車両やガソリン/電気/燃料を組み合わせたスタンドの模型、電動バイクのコンセプトモデルなどが展示されている。
また、デモとして日産自動車が開発した魚群の群れの行動をヒントに開発された"ぶつからない"ロボットカー「EPORO」やトヨタ自動車のパートナーロボットの1種であるパーソナルモビリティロボット「Winglet(ウイングレット)」の試乗体験なども行われている。
Wingletは、人の移動をサポートする立ち乗り型のモビリティロボットで、折りたたんで運ぶことも可能だ。安心して自由に移動を楽しめる社会の実現に貢献することを目的とし開発が行われているもので、実用性の高いType L、アクティブな操作性と実用性を兼ね備えたType M、両手が自由な状態でスポーティな操作ができるType Sが用意されている。充電時間1時間で、最大速度6km/hで、Type L/Mが10km、同Sが5km走行することが可能だ。
クルマメーカーのブースで見かけたエレクトロニクス
トヨタ自動車のブースでは、2009年12月に発表されたプリウスプラグインハイブリッドのカットボディと、駆動用リチウムイオン電池が展示されている。
同バッテリは、3.6Vのバッテリを96セル組み合わせたもので、定格電圧は345.6V、容量は5.2kWhとなっている。また、充電時間はAC100Vで約180分、AC200Vで約100分となっている。
一方、EV「リーフ」を2010年度の後半に日米欧での販売を予定している日産自動車は、リーフ本体の展示はないものの、EV用リチウムイオン電池の展示を行っている。これは、同社とNECトーキンが立ち上げた合弁会社オートモーティブエナジーサプライ(AES)が開発したもので、2000年初頭に登場した日産の軽電気自動車「ハイパーミニ」に搭載されたバッテリーと比較して、約2倍のエネルギー密度を実現している。
正極材料にはマンガン系の材料を採用することでコストの低減を実現しているほか、ラミネート構造セルを採用したことで、冷却性能の向上とレイアウト自由度の向上を実現、軽量でコンパクトながら実用レベルな長寿命を実現したとしている。