慌ただしい日常から解放され、至福の時間と空間を提供してくれるラグジュアリーホテル。その中でも最高級ホテルとして世界的にも名高いのが、マンダリン・オリエンタルだ。不況下でも続々と新施設をオープンさせている同ホテルグループの理念、今後目指していく方向性について、来日した広報マネージャー、サリー・デ・スーザさんに話を聞いた。 ――世界各国が依然として深刻な不況にあえぐなか、2009年には三亜、ラスベガス、バルセロナ、2010年にはマカオ、マラケシュに新施設をオープンするなど積極的な展開を進めていますね。

マンダリン オリエンタル ホテル グループ 広報マネージャー、サリー・デ・スーザさん。2000年に同グループに入社する以前は、香港の出版業界にて活躍していた経歴をもつ

サリー「確かに、スケジュールだけ見ると短期間にオープンが集中しているように見えますが、いずれも10年以上前からの長期的な計画に基づくものです。私どもはホテルをオープンさせる際、ロケーションやパートナー選びには非常に時間をかけて慎重に行っており、決して妥協はいたしません。

2013年には日本への直行便が就航したことで注目を集めているアブダビにも進出を予定しており、ホテル数は今後3~4年で倍近くの40軒ほどになります」

――世界中で展開しているマンダリン オリエンタル ホテル グループが共通して掲げている「センス・オブ・プレイス」という理念について、詳しく教えてください。

サリー「簡単に申し上げますと『センス・オブ・プレイス』とは、そのホテルがある国や都市の文化をホテルづくりに取り入れるという考え方です。多くの人に『訪れてみたい』と思わせる優れたホテルには、この『センス・オブ・プレイス』が不可欠だと考えております。

私どものホテルでは、建物や部屋のデザインなどのハード面はもちろん、サービスやイベントといったソフトの面にも『センス・オブ・プレイス』は行き届いています」

――例えばどのように?

サリー「マンダリン オリエンタル 東京を例に挙げると、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さんを起用。呉服の街・日本橋の伝統を活かし、日本の自然をテーマにデザインし、日本の匠が作り上げた布(ファブリック)をインテリアに用いています。

「ロスコー賞」や「毎日デザイン賞」などの受賞歴をもつテキスタイルデザイナー・須藤玲子さんが手がけた布地は、カーテンや絨毯をはじめ、特注で誂えた家具の張り地など館内のいたるところに存在。また各部屋にはキモノの染型がアートとして飾られている

また、マンダリン オリエンタル プラハでは、クラシック音楽のイベントをご鑑賞いただける宿泊プランが用意されたり、マンダリン オリエンタル ハイドパーク ロンドンではハイドパークを望みながらのアフタヌーンティーが楽しめるなど、各国の文化的特徴を充分に活かしたサービスが楽しめます」

「マンダリン オリエンタル プラハ」(左)と「マンダリン オリエンタル ハイドパーク ロンドン」の室内イメージ

――アフリカ大陸初進出となるマンダリン オリエンタル ジュナンラーマ マラケシュについても「センス・オブ・プレイス」が活かされているのでしょうか。

サリー「マラケシュの一番のオススメはなんといってもそのロケーションですね。広大な敷地と壮大なアトラス山脈に囲まれた部屋からの眺めは、たとえようのない素晴らしさです。

モロッコ在住のデザイナーが手がける「マンダリン オリエンタル ジュナンラーマ マラケシュ」

建物のデザインはモロッコ在住の建築デザイナーに依頼し、すみずみまでモロッコの文化を反映したものになっております。それに、オプションで屋外にあるテントスタイルの会議スペースが利用できるなど、モロッコならではの特徴的なサービスも多数用意しています」

話を聞いているだけで思わず息をのんでしまうスケール&ゴージャス感。「こんな時代に高級ホテルなんて……」と尻込みする人も多いかもしれないが、マンダリン・オリエンタルの「センス・オブ・プレイス」に少しでも触れることで、いまだかつてない"本物"に触れる体験ができることは間違いない。…つづきを読む