さて、「トルコ航空では、イスタンブールからの乗り継ぎ客が急増中。現在は34%が乗り継ぎ旅客だが、2年後には50%、5年後には80%を目標にしている」(コティルCEO)。
実際、年内に就航する都市を含めてヨーロッパ70都市、アフリカ11都市など世界160都市以上への豊富なネットワークを構築。トルコ国内はもちろん、南ヨーロッパや地中海沿岸へは特にアクセスしやすい。
現在実施中のキャンペーン「ONE NIGHT IN ISTANBUL」も、イスタンブールで乗り継ぐメリットのひとつ。24時間を超えない範囲でイスタンブールのホテルが無料で提供され、数時間の観光が楽しめるのだ。ビジネスクラスで6時間、エコノミークラスで10時間以上の乗り継ぎ時間があることが条件なので、たとえば、ミラノ行きは使えず、リスボン行きは使えるなど、行き先にもよるが、条件が合えば魅力のサービスである。
中東系航空会社にはない強み
エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空……。日本からトルコ航空と同じようなルートを飛んでいく航空会社が今春、立て続けに成田空港に就航した。しかし、「トルコ航空はそうした中東系航空会社にはない強みがある。それは、人口1,200万人の国際都市イスタンブールと、トルコ全体の観光地としての魅力」(コティルCEO)だ。
確かに、アブダビやドーハなど他社の乗り継ぎ地とイスタンブールを比べると観光地としての実力の差は歴然としている。
冒頭で触れたようにイスタンブールは歴史の教科書に度々登場するなど日本での知名度が高い。ブルー・モスク、トプカプ宮殿、アヤソフィア聖堂など有名な建造物が立ち並ぶイスタンブール歴史地区は世界遺産にも指定されている。
シルクロードやスパイスロードの拠点で古くから東西文化が交じり合う場所にあったため多彩な表情を持っているのは、この町の最大の魅力。歴史地区、市場「バザール」での買い物、近代的なイスティクラル通りでの食べ歩き、ヨーロッパとアジアを隔てるボスポラス海峡の眺望、日本人の口にも合うトルコ料理、最高級ホテルのケンピンスキー・イスタンブールなど、楽しみは書き入れないほどある。かつてのバリ島や数年前のドバイなど、観光地としての人気が上がり続ける場所に共通のエネルギーを今のイスタンブールにも感じることができる。
トルコ航空で旅するなら、乗り継ぎで利用するにしても、「ONE NIGHT IN ISTANBUL」と言わず、行きか帰りにイスタンブールで数日は滞在しないともったいない。
「トルコ政府は伸び続ける航空需要を受けて新しい空港の建設計画を表明。15年にはヨーロッパ最大の空港を目指す」とコティルCEOは強気の展望を話すが、それだけトルコ航空に勢いがあるのは間違いない。
今後に注目したい航空会社である。