ボスポラス海峡を挟んでヨーロッパとアジアにまたがるイスタンブール。紀元330年に東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルとなり、1453年からはオスマン帝国の首都となった。古くから東西交易の中心地として栄えてきた町だ。
そんなかつての繁栄を彷彿とさせる成長ぶりを見せているのが、そのイスタンブール・アタチュルク国際空港を拠点とするトルコ航空だ。
トルコはベトナムや南アフリカなどと並んで高度経済成長の条件を備えた有力国のひとつとされ、トルコ航空も本国の経済的発展と相まって急成長し、昨年の株価は前年の428%、総旅客数はヨーロッパ第4位にまでなった。
日本路線の便数も増やし、今年の夏スケジュール(2010年3月29日)からは成田-イスタンブール間を週6便に、関空-イスタンブール間を週4便に拡大して利便性を向上。今年は「トルコにおける日本年」でもあり、両国の交流も深まりそうだ。
トルコ航空テメル・コティルCEO |
そんな今をときめくトルコ航空のCEOにインタビューし、同社が日本人旅行者にもたらしてくれる魅力を探ってみた。
株価急上昇と若くなる平均機齢
トルコ航空のテメル・コティルCEOの言葉でまず驚いたのが、2009年の株価が前年の428%と実に4倍以上になったこと。JALの上場廃止は極端な例だとしても、他のヨーロッパ系航空会社の株価を見ても、良くて10%台、悪いところは40数%のマイナスだった。
もちろん、トルコ航空の株価上昇には理由がある。
「総旅客数は2007年の1,970万人、2008年の2,250万人、2009年の2,510万人と右肩上がり。2010年には3,100万人を見込んでおり、総旅客数は現在のヨーロッパ第4位から3位に躍り出るのはほぼ確実。また、グローバル・ネットワーク・エアライン(大手航空会社)でありながら、格安航空会社並みの低コストを実現。飛行機の平均機齢は約6.2年と若く、2009年からの15年間で105機の飛行機を購入するからもっと若くなる。今年はボーイング777-300ERやA330-300を導入」(コティルCEO)する。
その新鋭機777-300ER型機だが、すでに成田線には導入している。777-300ERは現在の大型(ワイド)ボディ機では最新鋭を行くサービスを提供できる飛行機のひとつ。トルコ航空の場合、ファーストやビジネスクラスだけでなく、エコノミークラスでも同じビデオ・オンデマンド・システムを採用。30本の映画や音楽、ゲームなどのパーソナルサービスが楽しめるようになっている。
機内食にもきめ細やかなサービスが
そして、「予算を度外視している」と関係者が自慢するほど力を入れているのが機内食。 日系やアメリカ系の航空会社では、"ヘルシー"や"経費削減"を大義名分にして量を減らす傾向にあるが、トルコ航空は機内食に手を抜かない。エコノミークラスでも片道11時間前後のフライト時間で2回の食事を提供し、間食を出すなどキメが細かい。
イスタンブール発便の機内食をつくるDO&CO(ドコ)社は、レストラン業界から参入した。チョコレートの「デメル」ブランドのほか、ホテルやカフェなどの事業も運営するケータリング会社で、ヨーロッパでは知られた存在。ビジネスクラスの前菜は、なんと7種類のオードブルが味わえる。
メインディッシュは世界三大料理に数えられるトルコ料理を中心に構成。デザートもチーズやフルーツを含み7種類と豊富だ。ちなみに、日本発便の機内食を担当するゲートグルメ社もスイス・チューリッヒに拠点を置く定評あるケータリング会社だ。
サービスで言えば、日本語を話せる客室乗務員はいるが日本人乗務員がいないため細かい対応にやや不満を覚える面もある。ただ、こうした努力が功を奏して、イギリスの航空サービスリサーチ会社『スカイトラックス』の調査で「ベスト・エアライン・オブ・ザ・サザン・ヨーロッパ 2009」を受賞するなど、サービスの質も認められてきている。
また、スターアライアンスに加盟し、ANAマイレージクラブなどにマイル加算ができるのもトルコ航空のメリット。正規割引航空券でもツアーや格安航空券での利用でも加算されるなど、条件も良い。…つづきを読む