サードパーティ製開発ツールの締め出しが話題になっている、8日に配布が開始されたばかりの「iPhone OS 4 SDK」(β版)だが、このツールではさらに別の大きな問題が指摘されている。
開発者らによれば、米Appleは開発言語だけでなく、モバイル広告にとって重要となる「ユーザーデバイスからの情報収集」も禁止する方針を打ち出しており、これが今後どのような影響を及ぼすのか、関係者らは注視している。
同件はWall Street Journal系列のAll Things DigitalのMediaMemo BlogでPeter Kafka氏が指摘している。モバイルアプリやWebサイトへのアクセス情報等を通してユーザーの活動データを収集することは、マーケティング企業や広告会社では日常的に行われている。ときには広告ネットワークの中にこれら計測インフラを構築し、ユーザーが知らぬ間にさまざまなデータが収集されているケースもある。ここで収集したデータを基に各種分析を行ったり、広告マーケティングのための基礎データにしたり、あるいは収集データそのものを商品としているためだ。
利用規約「Section 3.3.9」
だが、新たに配布されたiPhone OS 4 SDK(β版)の利用規約によれば、こうした行為は禁止される可能性があるという。現在問題となっているのは、同利用規約の「User Interface, Data Collection, Local Laws and Privacy」と呼ばれる項目にあたる「Section 3.3.9」で、ここにはユーザーデータの収集に関する指針が示されている。
Kafka氏が転載した3.3.9の内容を読むと、データ収集がアプリ内で行われる場合、その利用目的はアプリの内容と一致していなければならないという。例えば、ユーザーデータを収集するのがSNSアプリである場合、そのデータは当該のSNSのサイトが利用する形態でなければならない。
わかりやすいように一致しない例も挙げると、ユーザーの位置情報を利用して広告を表示するゲームアプリがあった場合、これはSDKの利用規約に違反する。これは位置情報とゲームという目的が一致していないためだ。逆に位置情報と広告を組み合わせたケースの場合、どのようなアプリが認められるのかといえば、「位置情報を基にクーポンを表示する」といった手段が目的そのものになっているアプリに限定されるという。