――まず商品があって、その後に商品特徴を表現するためのキャラクターが生まれるという流れなんですね。

「そうです。『ふわ丸』も同様ですよ。『キャラメルコーン』の技術から生まれた、口の中でふわっと消えてなくなる口どけのよさが特徴だったので、それを表現するために"素早く消える=忍者"という発想でキャラクターのコンセプトを決めました。でも、世の中には既にかわいい系の忍者キャラが多く存在していて、下手をすると何かに似たキャラクターになってしまう。そこで当社では、浮世絵っぽい忍者キャラクターを採用し、パッケージデザインも純和風の渋めのテイストに仕上げました。実は、スナックの形状も忍者の小道具"まきびし"に似ているんですよ」

「ふわ丸」

――キャラクターを決定する際、やはり類似する既存キャラもチェックされるんですね。

「そうですね。スナック菓子はコンビ二やスーパーで他の競合商品と一緒に陳列されますので、その中で独自の個性を発揮することがとても重要です。消費者はほんの数秒のうちに商品を選ぶわけですから。また、子供にとってお菓子のキャラクターはお友達やお人形のような身近な存在。愛着のわくキャラクターであるほど、またその商品に興味がわきます」

――なるほど。ところでこれまでの商品とまたちょっと違ったイメージなのが「mobi(モビ)」。こちらはギャル系キャラとでも言いましょうか……。

「2010年2月に発売したのが『mobi』です。こちらは20代の女性をターゲットにし、キャラクターも今風のガールズテイストにしました。お菓子を頭にのせて、最近流行でユニークな"盛り髪"にした個性的なキャラクターです。この商品は"携帯型のチョコビスケット"がコンセプト。いつでもどこでも携帯し、仲間と会話しながら食べるというシーンを想定した商品です。手のひらサイズにし、おしゃれな見栄えになるように、パッケージはキラキラ光る仕上がりになっています。ちなみに『mobi』とはモバイルに由来したネーミングで、携帯の公式サイトでは『mobi』の恋愛シュミレーションなども実施しました。お菓子を食べながら携帯電話でサイトを楽しむという若い女性のライフスタイルにフィットした商品を開発したのです」

「mobi」

――どの商品もキャラクターも、随所にこだわりがあることがわかってきました。最後に、あえておうかがいしますが、お菓子にはやはりキャラクターは必要ですか?

「お菓子は食事として食べるものではありません。極端に言えば、食べなくとも生きていけるもの。でもだからこそ、食べた時のおいしさや楽しさ、ハッピー感をご提供していくことが大切なのだと考えています。キャラクターは、そんな楽しさやハッピー感を表現する強い武器ではありますね。今後も『お菓子を食べるとハッピーな気持ちになる』とお客様に感じていただけるように、商品もそのキャラクターも、趣向を凝らしたものにしていきたいと思います」

――お忙しい中、ありがとうございました。