サードパーティ製ツールを使う理由として、慣れないObjective-CやXcodeではなく、これまでに蓄積したテクニックを流用して開発をスムーズに進めるためという技術上の問題の他、Windowsなどの開発環境を流用するといった理由もある。

例えば、Flash CS5のPackager for iPhoneでは、既存のFlashアプリ開発者がActionScriptなどの技術をそのままiPhoneアプリ開発に活かせ、しかもWindowsでのコンパイルが可能というメリットがある。MonoTouchも同様で、.NET Framework環境のテクニックを流用できる。だが、これらはすべてObjective-C/C/C++で記述されるというソースコードの規定に違反する他、APIへのアクセス権限を持たないこととなり、事実上のサードパーティ製ツール潰しが目的だと捉えていいだろう。

理由は不明だが、前述のGruber氏によればAppleはAdobeなどのサードパーティを排除したいというより、iPhone上にメタ開発フレームワークを構築されることを嫌っているのではと分析している。iPhone向けのネイティブアプリを開発したければ、Appleが用意した環境をきちんと使ってほしいということだ。

このiPhone SDKの利用規約変更について、Business InsiderではあるiPhoneアプリ開発者のコメントを紹介している。Joe Hewitt氏はiPhone向けの著名Facebookアプリの開発者だが、今回の決定について不満と怒りを表しているという。iPhoneでは多くの開発言語に関する革命があったと評価する一方で、増加し続ける前述のようなクロスコンパイラ環境をAppleが禁止したことで、これまでObjective-C開発に不満を持っていたデベロッパーであっても、事実上選択肢がなくなったとコメントしている。