さて、iPad発表イベントのレポート記事で、「iPadはちょっと重くて、手に持って使いづらい」という印象を書いた。その感想は今も変わっていない。長時間持っていると重さが気になってくる。

しかし、だからダメだというのではない。"iPadは置いて使うべきタブレット"なのだ。しっかりとした重さがあるから組んだ足の上で安定するし、机やテーブルの上に置くと、さらに使い勝手良い。らくらくとタイピングでき、またアプリ操作に両手を使えるので快適だ。IPSディスプレイは178度の視野角があり、コーヒーテーブルの真ん中にiPadを置けば、その周囲にいる全員が同じようにiPadのコンテンツを楽しめる。

テーブルや机に置いて使いやすいiPad。背面はカーブになっているが、くるくると回ることはなく、安定しているのにスムースに回転もする絶妙なバランス

iPadのディスプレイは真横近くからでもクリアに見える

筆者はFront Rowを使うことが多い。だが、MacBookでは見せられる角度に限りがある。iPadでは、スクリーンの前に集まってもらわなくても、気楽に写真やビデオを見せられる。誰かと一緒にWebブラウジングや地図検索をすることも可能だ。パーソナルなモバイルデバイスでありながら、複数の人で楽しめるオープンなデバイスでもあるところも、iPadのユニークなところだ。

普段筆者は自宅では、料理中や映画/テレビを見ているときのメールチェック、またちょっとした検索にはiPod touchかAndroid携帯を使う。一方、長い返信メールを書くときなどはスリープ状態で居間に置いてあるMacBookを使っている。しかし今後、これらの役割はiPadに持って行かれそうだ。もうMacBookを居間に置いておく必要ないかもしれない。

最後にiPod touchについて。iPad発売前に「iPadは大きいiPod touch」と一部で皮肉られていたが、実際にiPadに触れた後では「iPod touchが小さなiPad」に思えている。これは皮肉ではなく、アプリを使うという点では明らかにiPadに軍配が上がる。音楽プレイヤーとしてはiPod touchの方が便利だと思うが、iPod nanoなどもあるので、iPod touchの立場は微妙だ。もちろん、これでiPod touchが役目を終えるとは思わない。iPhone OSベースのハンドヘルドデバイスとして、今度は本当にiPadの立場を脅かすような進化をiPod touchに期待したいところだ(たとえばカメラ搭載とか……)。