iPadレビューシリーズとなる
『「iPad」がやってきた(1) - セットアップでいきなりトラブル「充電されない!」』
『「iPad」がやってきた(2) - 日本語タイピング編「離して打つiPhone、触れて打つiPad」』
『「iPad」がやってきた(4) - ”日本語”電子書籍も快適な「iBooks」』
『「iPad」がやってきた(5) - Apple渾身のオフィスアプリ決定版「iWork」』
も合わせてお楽しみください。
iPad購入から1日半が経過。使い倒しているのに、まだiBooksしかアプリを追加していない。というのも、標準アプリをいじっているだけで面白く、サードパーティ・アプリを評価するところまで到達していないのだ。iWorkのインタフェースもずいぶんと楽しめそうだから、あと2~3日はほぼ標準の状態が続きそうだ……。
iPadの標準アプリは、Safari、メール、写真、iPod、ビデオ、カレンダー、連絡先、メモ、マップ、YouTube、iTunes、App Storeの12種類だ。iPod touchよりも少なく、しかもiPadならではの標準アプリはない。「それなのにiPadなんて必要なの?」という声が聞こえてきそうだが、これらはすべてiPad向けに再設計された"iPadアプリ"である。
iPadのハードウェア性能を存分に活かし、iPadのユーザーインタフェースで操作できる。この差が非常に大きく、同じモバイルアプリだと思って使ってみたら、Appleが"魔法のような"とアピールする利用体験に遭遇するのだ。たとえばiPhone/iPod touch、またはAndroid携帯でマップ(Googleマップ)アプリを利用した経験がある人なら、iPadのマップのナチュラルな操作感とスムースな動作に驚かされるはずだ。
動画 - 「iPad」マップ・アプリの動作 |
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マップ・アプリで、Apple本社に移動、ストリートビューで玄関前をぐるりと見渡す。本当にApple本社前に立っているようにストリートビューを楽しめる |
iPadアプリを実現する物理的な要素は「A4チップ」と「9.7型の大きなタッチスクリーン」である。前者はモバイルパソコンに迫るパフォーマンスをタッチスクリーンデバイスにもたらし、後者はモバイルアプリを小さなスクリーンという足かせから解放する。ただ、これだけならライバルもすぐにiPadに相当するデバイスを投入できるだろう。iPadアプリを使っていて唸らされるのは、ハードウェアとユーザーを結ぶソフトウェア要素。つまり自然なタッチ操作を実現するユーザーインタフェースだ。
ひと口に”タッチインタフェース”と言ってもピンきりである。クリック/ダブルクリックやドラッグなどマウスの機能をタッチで実現できれば十分というひどいものもある。iPadでは、モノを動かす、紙をめくる、折りたたむ、手探りで探す、モノを顔に近づけるなど、我々が普段の生活の中で手を使う感覚で様々な操作を行える。例えば写真アプリでアルバムをピンチアウトすると、まるで写真の箱をひっくり返してテーブルの上に写真をひろげるようにアルバム内の写真をプレビューできる。自然であり、そして使っていて楽しい。
この"楽しい"というところが大きなポイントだ。面白くするだけならアニメーションやエフェクトをふんだんに盛り込めば良い。だが、それでは処理能力がムダに消費されて、モバイルデバイスとして成立しない。iPhone OSでは、たとえばスクロールを続けて最後まで行きつくと、画面全体がズレてぼよよんと動く。その動きで、ユーザーは端にたどり着いたことに気づく。単にスクロールが止まるだけなら、ユーザーはタッチスクリーンが反応していないと思ってスワイプを数回を繰り返すだろう。
こうした操作やナビゲーションの要所に的確に"楽しい"が使われているから、iPhone OSデバイスは直観的に動かせる。処理能力に優れたiPadでは、Appleのタッチインタフェースの使って楽しくナチュラルな部分がさらに開花しているのだ。