Adobe Systemsは3月23日、FlashベースのRIAフレームワークの最新版「Adobe Flex 4」や、Flex 4に対応した統合開発環境の最新版となる「Adobe Flash Builder 4」(旧称Flex Builder)などの新ツールを発表した。小誌では、同発表のために来日した米Adobe Systems シニアデベロッパー マーケティングマネージャーのMike Potter氏に、Flex 4およびFlash Builder 4の新機能や、Flashプラットフォームを中心としたAdobeの戦略などについて話を聞いた。
FlexおよびFlash Builderが果たす役割
AdobeがFlex 3を正式リリースしたのは2008年2月であり、それからすでに2年以上が経過している。この2年間にアプリケーションを取り巻く環境は大きく変化してきたが、Potter氏は次に挙げる3つの部分は特に革新的であったと指摘している。
- Web上でのリッチな体験がより一般的になったこと
- ソーシャルアプリケーションが普及したこと
- Webにアクセスできるデバイスの種類が増えたこと
Flashプラットフォームはこのそれぞれについて大きな役割を果たしてきたが、Flex 4やFlash Builder 4によって、デザインツールで作成されるさまざまなコンテンツをよりシームレスにFlashプラットフォームの中に取り込むことができるようになる。そのデザインツールの新版である「Adobe Criative Suite 5」は4月12日(米東部時間)のリリースが予定されており、Flex SDK 4およびFlash Builder 4においてもこれらのツールを活用する効果的な手段を提供しているという。
Flex 4における3つのテーマ
まずFlex 4だが、Potter氏によれば今回のリリースには以下の3つのテーマに基づいた機能拡張が含まれているという。
- デザインの重視
- デベロッパの生産性向上性
- フレームワークの進化
デザイン面では、特にデザイナの意図をいかにアプリケーションにそのまま反映させられるかを重視しているという。そのために導入したのが「Spark」という新しいコンポーネントアーキテクチャである。新しいSparkコンポーネントモデルでは、アプリケーションのロジックとデザインをそれぞれ独立してコンポーネント化できるため、両者を明確に切り分けて開発することが可能になるという。その他、XMLベースのグラフィック表現であるFXGのサポートや、UIレイアウトのためのマークアップ言語であるMXML 2009のサポート、スキンの強化など、デザインの構築を助けるさまざまな機能強化が行われている。
「Fles 4では、デザイナがCSを使って作成したデザインを、アプリケーション構築時にデザイナの意図通りに動かすことができます。アプリケーションの見た目のデザインからロジックのコーディング、実行に至るまで、一貫性を保った開発が可能になるのです」(Mike Potter氏)
生産性の向上という点では、まずコンパイラが大幅に高速化されたことが挙げられる。またコンポーネントの変更をお互いに監視し、反映し合うことができる2-Wayのデータバインディングが可能になった。CSSも改善されており、アプリケーションの見た目をより簡単に変えられるようになっているという。
フレームワークの進化は、Flexの本質的な部分である。Flex 4ではステートの遷移方法などがを改善された他、テキストコンポーネントやビデオコンポーネントが強化され、表現力が大幅に向上しているとのことである。