英会話スクールの老舗であるベルリッツ・ジャパンは3月より、英会話初級者に向けて「無料英語セミナー」を開催している。セミナーの内容は大まかに、「ビジネス英会話」と「TOEIC対策」に分けられる。

ベルリッツ・ジャパン HIKA ITO氏

今回参加したのは、プレゼンテーション・スキルの紹介を中心とした講座「カンタンな英語で効果的に! 初めてのビジネス英会話ワンポイント・セミナー」だ。同セミナーは、「ビジネスシーンにおける自己紹介」、「プレゼンテーション」、「英語学習のアドバイス」の3つの柱から構成されている。

今回講師を務めたのは、カナダのバンクーバー出身のHIKA ITO氏である。同氏は講師職を経て、現在はビジネスクラスの教材を作ったり、企業研修の設計を行ったりしている。

セミナーはすべて英語で行われるが、比較的簡単な英語なので、「英語を勉強しよう」という気持ちがある人なら、聞き取れないことはないはず。それでは、同セミナーの様子をお伝えしよう。

Answer→Add→Askのプロセスが大事

日本だろうと外国だろうと、ビジネスシーンで人に会ってまず行うのは自己紹介である。ITO氏は、自己紹介のポイントとして、「スマイル」、「アイコンタクト」、「姿勢」、「握手」、「スモールトーク」を挙げた。

日本人は握手というと、つい相手の手をギュっと強く握ってしまいがちだが、「ビジネスシーンでの握手は、深いけれど優しく、短時間が基本です」と、ITO氏はアドバイスした。

また5つのポイントのうち、「最も難しいのはスモールトーク」とITO氏は話した。簡潔な自己紹介として、自分の氏名や会社名しか相手に告げなければ話が広がらず、かといって、初対面の人と会話を続けるのも簡単ではない。

ビジネスシーンの自己紹介の5つのポイント(左)とスモールトークのトピックの例(右)

スモールトークを成功させる秘訣として、「相手の質問に答える」、次に「自分の意見を付け加える」、最後に「相手に質問する」という会話を行うことと紹介された。

例えば、相手が「あなたの出身国はどこですか?」と聞いたとしよう。その時、まずは「日本です」と答え、次に「日本には美味しい食べ物がたくさんあります」と話し、最後に「あなたは日本を訪問したことがありますか?」といった具合で、会話を続ければよい。

このような会話を行うことで、相手に自分の情報が伝わり、また、相手も自然に会話を続けることができるというわけだ。

授業はプレゼンテーション資料を受講者に読ませ、ITO氏が解説を行った後、実際に受講者同士で会話をするという「体験方式」で進められた。習ったことをその場で実践できるので、じっと聞いているだけの授業に比べて、理解は深まるはずだ。

教室を自由に動き回って自己紹介のレッスンをする参加者たち

自分の英語力が低い場合は相手を自分のレベルに引き下げる

次に、ITO氏が教えてくれたのは「レベルダウンテクニック」だ。このスキルは、自分の英語力が低くて、相手の話していることがわからない時に使う。

「相手の話していることがわからない時は、まず会話を止めます。次に、ゆっくり話してもらうよう頼みます。相手の話を自分の言葉で説明し、それが正しいかどうかを確認します。つまり、会話をコントロールすることが大切です」

相手の話すスピードが速すぎて話している内容がわからないと、焦って相手のペースに引きずられてしまいがちではないだろうか? 相手の英語が聞き取れない時は、臆すことなく、自分が理解できないことを告げ、自分がわかるように会話の軌道修正を図りたいものだ。

相手の話がわからない時に用いる「レベルダウンテクニック」