画像の切り抜きと合成に特化したフォトレタッチソフト

ピクチャミクスは、画像の切り抜き・合成に特化したフォトレタッチソフト。おおまかに輪郭をなぞるだけで、自動的に輪郭を検出し、面倒な切り抜き作業を簡単かつキレイに行えるのが特長だ。本稿では、3月にリリースされた新バージョン「ピクチャミクス3」で追加・強化された機能をおりまぜながら、ピクチャミクスについて紹介する。対応OSは、Windows XP / Vista /7。

ピクチャミクス」の全体画面

建物と子供の写真を合成してトリッキーな画像を作ったり、額縁と風景写真を合成しておしゃれな雰囲気に仕上げたり。年賀状を作る時期になると、雑誌やWebメディアで合成写真の作り方が紹介され、興味を持った人も少なくないだろう。

しかし、実際に被写体を切り抜き、背景画像と合成してみると、被写体の周囲に不要な背景が混じったり、曲線部分になめらかさがなかったりと、不自然な仕上がりになることがある。これは、切り抜く範囲をうまく指定できていないのが原因。切り抜き・合成に関する機能は、ほとんどのフォトレタッチに搭載されているが、きれいに切り抜くには慣れとテクニックが必要で、特に輪郭の形が複雑なものは、かなりの手間がかかる。

こんなときこそ、ピクチャミクスの出番だ。ピクチャミクスは、東芝の特許技術である形状検出技術「MaskMaster」(フラクタル輪郭検出法)を採用し、画像内の人物や動物、花、建物などの被写体を簡単な操作で切り抜くことができる。慣れやテクニックは不要だ。

切り抜きが中途半端だと、不自然な仕上がりになる

切り抜きを丁寧に行うと、自然な仕上がりになる

輪郭をおおまかになぞるだけで切り抜き完了

作業の流れとしては、ピクチャミクスで画像を開き、画像をダブルクリックして切り抜き画面を呼び出す。画面左側には切り抜くためのボタン類が表示され、一番上に「不透明化」ボタンと「透明化」ボタンが並んでいる。「透明化」ボタンは削除したい部分を、「不透明化」ボタンは残したい部分を指定するときに使う。

切り抜き画面

「全て透明化」ボタンをクリックすると、画面全体が薄い赤や緑、青色で覆われる。この覆いは、透明化する部分と不透明にする部分を見分けやすくするためのもの。色の付いた部分が透明化、つまり削除されることになる。色の使い分けは、画像の色とあまり重ならないものを選ぶと良い。青系の画像であれば、赤や緑の透明色がおすすめだ。

「透明色の設定」は画像の色によって使い分ける

この状態で、残したい領域を指定する。まずは「不透明化」ボタンをクリックし、描画ツールの「点」や「曲線」を選択。右端の「ペンサイズ」をクリックしてペンの太さを選び、輪郭線上をおおまかになぞる。この時点では、多少はみだしてもかまわない。ただし、ペンサイズが大きすぎると、輪郭線をうまく検知できなくなる場合があるので、適切なサイズを選ぼう。なぞり終えたら、描画ツールの「塗り」に切り替え、なぞった線の内側をクリックして塗りつぶす。これで、切り抜きたい領域がおおまかに指定される。

ペンサイズを選ぶ

輪郭線上をなぞる。おおまかで構わない

輪郭線の内側を塗りつぶす。切り抜かれるのは透明部分

ここまでの作業は、輪郭線をおおまかになぞるだけなので、あまり難しくない。難しいのは、切り抜き線を輪郭にフィットさせる作業だ。ピクチャミクスでは、この面倒な輪郭線の指定を、「フィッティング」ボタンをクリックするだけで行える。「フィッティング」の強さは、「弱」から「強」までの4段階。どのボタンが適しているかは、画像によって異なるので、実際にボタンをクリックしたり、元に戻したりしながら試してみよう。フィッティングは複数実行することも可能。

フィッティングの精度は、切り抜く対象と背景との色差がはっきりしているものほど正確に検出できる。逆に、境界部分の色差があいまいなものは、輪郭が確認しずらく、思うように検出できない場合もある。その場合は、描画ツールを使って、手作業で修正を加えることになる。いずれにせよ、1から輪郭を取る必要がないので、手間は少なくてすむ。

「フィッティング」関連のボタン

フィッティング実行前

フィッティング実行後