またiPhone用アプリは「.ipa」の拡張子で配布されているが、このZIP形式のファイルには「.app」というアプリの本体となる実行ファイルが格納されており、このダンプリストを取得することで内包されたキーワードからFlashプロジェクトで生成されたファイルであることが容易にわかるようになっているという。製品版のCS5で変更される可能性はあるものの、この手のコンパイラには特有の"クセ"があり、Appleが専用ツールを用意すればすぐに判別がつくだろうと指摘する。現時点ですでにApp Storeの認証を通っているPackager for iPhoneを適用済みのアプリが存在してはいるものの、将来的に法的アクションなどを起こすのもAppleのさじ加減1つだというのだ。
Kirchhoff氏は「私は弁護士ではない」と前置きしながらも、この問題はWindows上で同システムを利用することに起因しており、多くのFlash開発者にAppleが直接法的アクションを起こすのが目的ではないと考えている。一方で、AppleがAdobeに対して何らかのアクションを起こす可能性はあるとしており、その場合、CS5のリリースに何らかの制限を課すかもしれないという。Adobeでは「この警告を無視する」あるいは「CS5における同機能をMac OS X版に限定する」という2つの選択肢が用意されている。
以前に紹介した「Titanium 1.0」のように、クロスプラットフォーム開発環境でありながら、iPhoneアプリの開発が可能なのはMac版のみといった制限が用意されているケースもある(「HTML+JavaScriptでiPhone/iPad/Androidネイティブアプリを開発できる「Titanium 1.0」」)。同氏自身は、こうした問題を回避するためにFlashプログラマーに対して自社製品の「Corona SDK」を勧めているようだ。
InformationWeekではKirchhoff氏の指摘を受けて、米テキサス州ダラスを拠点にするVernon Law Groupの弁護士Mark Methenitis氏に電話インタビューを行っている。同氏は先ほどサンフランシスコで開催されたGame Developers Conference (GDC)においてiPhone Developer Agreementに関する講演を行った人物だ。Methenitis氏はKirchhoff氏の指摘について「適切な解釈の1つ」だと評しており、「あり得る可能性であり、それはAppleとAdobeのこれまでの微妙な関係を見ていればわかるだろう」とコメントしている。