次が電子ブック市場での動向だ。アプリなどのコンテンツはそのままiPhoneのものを引き継ぐため、iPadにおける新サービスと呼べるのは電子ブック販売サービス「iBookstore」のみといえるかもしれない。だがこのデバイスにかかる市場の期待は高く、その様子がChangeWaveのアンケートからもうかがえる。
まずユーザーが所持する電子ブックリーダーのシェアを出したところ、Amazon.comのKindleが68%、Sony Readerが10%となった。これにiPadが加わるとどうなるのだろうか? ChangeWaveでは「もし自分が電子ブックリーダーを買った当時、iPadがすでに市場にあったとしたらどの端末を選ぶ?」という設問を用意してアンケートを実施したところ、現状の電子ブックリーダーを選んでいたというのが45%、iPadを買っていたという割合が27%、不明が30%だった。潜在的インパクトを考えれば、いきなりKindleを越えるのはハードルが高いが、業界シェアで2位を取るのはそれほど難しくない可能性が高い。
一方でこれから電子ブックリーダーを買うと回答した人にどの端末を購入するかを問うと、iPadが40%、Kindleが28%、Barnes & Nobleのnookが6%、Sony Readerが1%となった。話題性もさることながら、電子ブックリーダーとしても期待するユーザーがいかに多いかがわかる。
あなたはiPadを何に使う?
では、どれだけのユーザーがiPadに電子ブックリーダーとしての機能を期待しているのだろうか。3つまでの同時回答を条件にiPadの利用動向をアンケート調査したところ、最も多かったのがWebサーフィンの68%、次いで電子メールチェックの44%、電子ブックを読むが37%、雑誌や新聞を読むが28%、ビデオを見るが24%だった。
意外と、普段の生活ででPCやモバイル端末を使って行っているような作業をiPadで代行しようというユーザーが多く、電子ブックや雑誌/新聞閲覧といった用途は2次的なものだと考えているようだ。またアンケートの項目では出現していないが、iPadでアプリや音楽コンテンツを楽しもうと考えているユーザーがどれだけいるかが気になるところだ。
最後の質問項目は「あなたがiPadを買うことで、これまで予定していたどのタイプのApple製品の購入をいったん見送るようになったか?」というもので、ここにはノートが9%、デスクトップが4%、iPhoneが10%、iPodが9%、Apple TVが1%となり、少なからずiPadの販売が既存製品ラインに影響を及ぼす可能性が考えられる。
「iPadが社内競合を起こす可能性」はアナリストや金融街の間で長きにわたって議論のテーマとなっており、こうした疑念を払拭すべくAppleが必死にアピールを行っているのが現状だ(「Apple幹部、iPadのさらなる値下げの可能性を示唆」)。この結果は、今年の秋くらいまでには明らかになるだろう。