プロ転向後の2005年、内野選手にさらなる大きな転機が訪れる。ユニクロのCM出演、湘南乃風のPV『カラス』主演、そしてとどめは日本選手権(KING OF GROUND)において22歳の若さで優勝と、名実共にトップライダーの地位を獲得したのだ。ちなみにこの年、BMXの販売台数が過去最高の伸びを見せたという。
内野:「もう何がなんだかまったく分かりませんでしたね。次々にいろいろなことが起こっていって。もちろん、BMXが売れたことも何が理由になったかなんて誰にも分かりません。ただ、僕はこっそり自分のおかげだとは思ってますけど(笑)。この年はほかにも先輩とコンビを組んで、BMXショーを年間100本ほどやることが出来ました。23歳までに自立する、という両親との約束に間に合ったということもありましたけど、なによりBMXで食べれるようになったことが僕にとっては大きかったです」
そんな内野選手が次に狙いを定めたのは、やはり"世界"。強大な壁に立ち向かうために彼が用意したのは、それまでの常識を覆すテクニックだった。9割以上のライダーのライディングスタイルだったフロントトリック(前輪を使ったアクション)を捨て、リアトリック(後輪を使ったアクション)をメインに切り替えた斬新なスタイルは全世界に衝撃を与え、BMXの流れを変えた。
内野:「そりゃナンバーワンになれるものならなりたいですけど、自分の原点でもある『人を驚かせたい』っていう気持ちの方が今でも大きいんですよね。『あいつスゴい』『あの人カッコいいな』って言われたいじゃないですか。
リアトリックに切り替えたのも、やってる人が少ないなら、そこに"お宝"がいっぱい眠っているんじゃないかなと思ったわけです(笑)。もちろん、マスターするまで死ぬほど練習しましたけど、進化して極めていくうちにそれは確信に変わっていきましたね」
その言葉通り、2008年、内野選手はアメリカで行われた世界選手権で渾身のリアトリックを披露し、見事優勝。そしてフランスのBMXチーム「A BAD THING」からオファーを受け、契約を交わした。現在、内野選手は4月から開幕する日本選手権および国際戦、そして5月の世界選手権に照準を絞り、準備の真っ最中だ。そんな中、2010年1月に代々木で開催された世界選手権では、なんと一回戦敗退という屈辱も味わった。しかし、彼の心は少しも揺らいではいない。
内野「努力を重ねても結果が出ないことがあるんだと、改めて思ったことは事実です。そういう経験を経て人間は大きくなる、強くなるってよく言いますけど、僕はキレイごとだと思ってたんですよ。けれど、今はものすごくそんな気がします(笑)。それにもし、そこで勝っていたらきっと天狗になってしまい、もっと大きな失敗をしていたと思いますね。まぁ、僕も人間だな、と(笑)」
「お前は世界をとれる」
BMXを始めたばかりの内野選手にそう予言した恩人が、2008年の世界選手権で優勝した際にプレゼントしてくれたZIPPO。ボディには優勝した日付が刻まれている。「本人には『そんなこと言ったっけ?』と言われちゃいましたけど(笑)」
これまでの道のりを実に楽しそうに語る内野選手だが、そこまで辿り着くには当然、挫折もあっただろうし、人知れず努力や苦労も重ねてきたはず。にもかかわらず、彼はそんな辛さを微塵も感じさせない、実に人懐っこい笑顔を見せてくれた。そんなタフな精神を持ち合わせる内野選手がEX-G1の世界観を具現化する一人に選出されたのは必然的ともいえるだろう。「2010年は世界ナンバーワンになりますよ。言ったことが実現しちゃう体質なんです(笑)」と笑う彼が、世界の頂点に登り詰める日は決して遠くないはずだ。
下記のコンテストで生のパフォーマンスに出会えるほか、3月7日までの期間限定配信で、渋谷スクランブル交差点にそびえ立つ巨大液晶ビジョン「Q-FRONT」にて、9時~23時の毎時間30分の時刻に、内野選手のプロモーション映像が配信されるので要チェック! |
コンテストスケジュール | ||
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国際戦 | ||
大会名 | 日程 | 開催場所 |
JOMOPRO | 4月9~11日 | USA-Missouri |
FISE | 5月12~16日 | France-Montpellier |
BALCERONA EXTREAM | 7月3~6日 | Spain-Balcerona |
国内戦 | ||
大会名 | 日程 | 開催場所 |
King of ground 2010 1st | 4月4日 | 名古屋 |
King of ground 2010 2nd | 7月24~25日 | 神戸 |
King of ground 2010 3rd | 10月(予定) | 東京 |
写真:石井健