――今、米山社長の強いリーダーシップという話がありましたが、相当期待しているように思えましたが、そう捉えてよろしいでしょうか。
米山氏は日本法人社長として、2008年4月の就任以来、この約2年間で2つの大きなことを実施した。1つはマーケットの現実に対応可能な体制に日本テクトロクニクスを改革したこと。この改革により、将来に備えられる体制が日本地域で築き上げられたと思っている。
例えば他地域に先駆けて行ったコールセンターの強化。これにより、アカウント管理体制の向上やカスタマとの関係改善、サービスの統合などが実現できるようになった。
もう1つは、日本と世界が結びついたこと。これにより、世界での動きが日本でも対応できるようになり、ビジネスとしての成功がより身近になった。
多国籍企業におけるこうした世界との統合は、景気の問題も含め難しい課題が色々とあったが、そういった環境の中、実現してくれて非常に感謝している。
この連携により、日本で必要とすることが世界で共有できるようになった。今後はこうした関係を米山氏にはさらに伸ばしていってもらいたい。
――世界と日本の連携が上手くできるようになったことから、より成長が見込めるという話でしたが市場の動きをどのように見てますでしょうか。
日本市場は2009年、前年比で50%も落ち込んだ市場もあった。しかし、2010年は全体的に80%程度まで回復するであろうと見ている。
韓国や台湾を見ると、台湾では2010年は前年比で設備投資を40%増額するというメーカーもあった。稼働率も80%以上に達したメーカーもあり、いずれも慎重ながら楽観視できる雰囲気になってきている。
こうした雰囲気は日本でもやがて拡がってくるはずで、市場の回復に伴い、我々もシェアを拡大していければと期待している。
――せっかく同席いただいてるので米山社長からも市場の動きに関する意見をいただければと思うのですが。
(米山氏)そうですね。2009年は確かに日本市場も落ち込みましたが、我々がフォーカスしている市場の回復感はあります。半導体、デジタル家電、通信、IPビデオなどは特に繁忙感だあります。
加えてもう1つ繁忙感がある分野があります。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)を中心とした関連分野です。この分野は投資が進んでいます。そうした投資の進んでいる分野に日本テクトロニクスのソリューションを積極的に提供していければと思っています。
日本は3つの販売戦略により成長を果たせると思っています。1つはすでに行ったカスタマコールセンターの強化です。これによりカスタマの規模の大小を問わず質の良いサポートを提供することができるようになりました。
2つ目は営業のさらなるカスタマ支援。カスタマサポートを強化したことにより、これまでそうした負担の一部を被っていた営業は時間をほかのことに使うことができるようになり、結果として、よりカスタマへのサービスの向上をどうやって実現するか、ということに充てることができるようになりました。
そして3つ目ですが、代理店支援の強化です。先ほどの繁忙感の話ですが、半導体やEVなどの分野では我々の特約店からも出てきています。さまざまな規模、分野の企業を我々だけですべて対応できるとは思っていません。すべての分野に充実したサポートを提供するためにはパートナーへの支援を強化し、彼らにも活躍してもらう必要があると考えています。
この3つの施策は実は2009年11月1日付けでスタートしています。2010年はこれらの施策をより充実していくことで、企業としての成長を果たしていきたいですね。
(Aghdaei氏)私も米山氏と同じ意見だ。Tektronixの戦略はワールドワイドの各地域リーダーと歩調を合わせている部分もある。
ケース・バイ・ケースでトップダウンでの意思決定を行う場合もあるが、私自身も世界を飛び回って多忙ということもあり、各地域における特色も違うことを考えれば、そういった意味では各地域マネージャーの方がそうした地域の特色に詳しいわけだ。
この場に日本法人社長の米山氏が居るが、彼が日本とワールドワイドをつなげてくれた。結果として、それが地域と本社がつながることになったのだと思っている。
もちろんTektronixのパフォーマンスとカスタマの満足度の向上に対する責任は私が負うが、それは米山氏のような各地域リーダーが努力をしてくれているから言える事だ。
――そろそろ時間が来ましたので最後の質問です。今後、Tektronixをどういった方向に導いていくつもりなのでしょう。
なによりも社員が仕事をすることに誇りを持って、社会に向かってTektronixの社員であると言える企業になれるよう努力していきたいと思っているほか、長期的なキャリアの形成や仕事としてのやりがいを持てる企業にもできればと思っている。
また、カスタマが我々の製品やソリューション、サービスを活用することで自分達のビジネスをこれほど満足させてくれる高い能力を持っている企業は全世界を見ても、ほかにはない、と言ってもらえるようになりたいと思っている。
競合他社に対しても、常に互いに成長を続けることを目指し、競合を上回る成長を果たすことを目標にしたい。そのためには「オペレーションのパフォーマンス」「社員の働きがい」「カスタマの存在」「利益を出せる体質」の4つのポイントがあると思っている。このポイントは最終目標ではなく、昨日よりも今日、そして今日よりも明日に向け常に目指すべきものだと考えている。
常にあらゆる人達の満足の向上を目指す。日本は米山氏をはじめ社員がそうしたことを良く分かっている地域なわけだが、突き詰めれば、それがビジネスにおける成長の黄金率だと信じている。
――今日はありがとうございました。