Tektronixの日本法人である日本テクトロニクスは、2010年1月より顧客や代理店などからの問い合わせ窓口を「お客様コールセンター」として一本化するなど、カスタマサービスの拡充を図る姿勢を世界中で打ち出している。これは、2009年5月1日付けでTektronixのPresidentに就任したAmir Aghdaei氏が打ち出した方針によるもの。そんな同氏に就任から約9カ月を経て、話を聞く機会を得たので、その内容をお伝えしたい。
Aghdaei氏の同社Presidentに就任する以前の経歴を簡単に説明すると、20年以上前に米Hewlett-Packard(HP)に入社、80年代に主にライフサイエンス分野およびテスト/計測事業に従事し、1999年に計測機器や半導体試験装置(ATE)、半導体などの事業部門を、Agilent Technologiesとして分社独立させた際にともにAgilentへ移籍。計測システム事業部のVice President,General Managerとして活躍した後、2007年に半導体テスタなどを手がけるCredence Systemsのフィールドマーケティング&オペレーション担当上席副社長に就任するなど、これまで一貫してテスト/計測分野を渡り歩いてきたプロフェッショナルで、本人も「ありとあらゆる分野の計測に携わってきた」と自分の経歴を振り返る。
そのような人物が何故TektronixのトップであるPresidentに就任したのか。これについて同氏は、「今後のキャリアを考えたとき、より自分の強い分野を掘り下げたいと思った。また、今のポジションに就くことは、組織全体を(自分の力を発揮することで)新しい位置に引き上げることができると考えた」と自身のキャリアアップと企業価値の向上を両立できるポジションであったことを強調する。
――Presidentに就任して9カ月が経ちましたが、これまでを振り返ってみるとどうだったでしょうか。
Tektronixという企業そのものは、これまで60年以上にわたりさまざまな技術を提供してきた。ブランドも世界規模だし、エンジニアの技術力も世界レベルだ。私の役割は、こうしたこれまでの下地を元に、計測精度の向上を果たしていくことだ。それは品質やプロ意識の向上を果たすことで達成できると考えている。そうすることで、これまでの60年のテクノロジーの重みを、今後の15年、20年、そしてその先へとつなげていけると思っている。
また、カスタマへのサービスの拡充も重要だ。カスタマの満足度が向上すれば、必然的に我々の事業規模も拡大できると考えている。2007年、Tektronixは計測機器・工具大手の米Danaherの傘下となったが、1998年に同様にDanaherの傘下となったFlukeが、2000年以降、Danaherとの相乗効果で収益を上げてきたことを考えれば、我々もその強みを生かすことで、同様のことができるようになれると思っている。
私は、産業界はさまざまな変化が訪れるが、有望な市場であり続ける業界だと思っている。確かに2009年は世界規模で産業界は苦境に立たされ、我々も例外ではなかった。しかし、我々は全社売り上げに対する研究開発費の比率を2001年や2002年と比べ、より高いところまで引き上げてたり、2009年第4四半期(10~12月)の3カ月の間に2社の買収を果たした。こうした取り組みを見てもらえれば、我々が今後の10年、20年という先を見ていることを分かってもらえると思う。もし、長期にわたってコミットを出してくれる計測器メーカーを探しているカスタマがいるのであれば、我々はそれに応じることができる体制がすでに出来上がっていることを強調したい。