日本企業では、NECやPanasonicなどが出展。昨年会場にブースを構えた日立は、今年はプライベートルーム(MWCではHospitality Suiteという)での参加だ。また、Panasonicは、昨年はNOKIA Siemens Networkとハードウェアを共同開発し、それを展示していたのだが、今年はLIMOファウンデーションの展示のみとなった。

日本のインフラ系のメーカーは、NTTドコモなどの国内メーカーとのビジネスが大きいものの、販売数量となると、全世界の中ではそれほど大きくはない。しかしコスト面では、海外メーカー並みを実現しようとするとかなりコストを下げる必要がある。このため、国内メーカーは、海外メーカーと提携、ハードウェアを共同開発し、それをベースにNTTドコモなどの国内事業者の仕様に合わせて、国内での販売を行っている。前述のPanasonicのほか、日立は、ノーテル社と共同開発を行っていた。

日本の端末メーカーでは、ソニーエリクソンと東芝、Panasonicが出展していた。ただ、ソニーエリクソンは、どちらかというと海外メーカーでもあり、前述のようにPanasonicのブースは、LIMOファウンデーションとしての展示が中心で、純粋に国内端末メーカーとして出展していた企業なのは、東芝のみという感じだ。

逆に、目立ったのは、SamsungやHTC、Huawei、ZTEといった韓国、台湾、中国のメーカー。HuaweiやZTEは、Android端末を数機種展示していた。Samsungは、すでに大きなポジションをEU圏で得ており、HuaweiやZTEは、USB通信アダプタで広く、こちらの事業者に採用されている。実際、バルセロナで、通信用にプリペイド契約でUSB通信アダプタを購入したが、ZTE製であった。昨年ドイツで購入した通信アダプタもHuawei製だった。

ZTEのAndroid端末「Racer」。Android 1.6を搭載、QVGAディスプレイ採用で、3Gに対応している

Huaweiの「U8220」。Androidを採用。3G HSDPに対応している。本体正面にトラックボールを持つ

東芝は、「T-01(こちらではTG-1)」とその後継である「TG-2」、およびキーボード付き端末の「K-01」を出展していた。TG-2は、全機種となるTG-1を薄く軽くした、マイナーチェンジ版。K-01は、スライド式キーボードを搭載しているが、薄く仕上がっており、タッチパネルも、静電容量方式(原理的にはマルチタッチが可能)に変更されている。おそらくは、Windows Phone 7を狙ったモデルと思われる。というのは、Windows Phone 7では、静電容量方式に正式対応し、マルチタッチが可能になるからだ。

東芝の「K-01」。TG-01の後継にあたるが、スライド式のキーボードを装備している

東芝の「TG-02」。日本国内で販売されているT-01の後継に当たるWindows Mobile搭載マシン

韓国Samungは、独自開発の「Samsung WAVE」が展示の中心。SDKが提供され、独自プラットフォームではあるが、ソフトウェア開発が可能なスマートフォン。同じSamsungグループのプロセッサ(ARM Coretexアーキテクチャ)を採用し、クロック周波数は1GHz、標示には、同社がSuper AMOLEDとよぶ表示デバイスを装備している。AMOLEDは、Active Matrix Organic LEDのことで。有機LEDによりアクティブマトリックスを構成した表示デバイス。日本では有機LEDを有機ELとも呼んでいる。

「Samsung WAVE」。独自仕様だが、SDKなどが提供されるスマートフォン。Samsungの1GHzアプリケーションプロセッサ、Super AMOLEDを搭載

今回の大きな話題は、スマートフォン。そういう意味では、日本企業が得意そうな分野である。今回出展していた東芝以外でも、シャープや富士通がスマートフォンを開発しており、NECなども過去には、Windows Mobile(当時はWindows CEだったが)を採用したマシンを開発していた。しかし、実際には、日本の端末メーカーは、海外展開をしていないために、ほとんどが参加していないという状況になっている。ある意味、スマートフォンのブームは、日本の端末メーカーが存在感を出すいい機会だとおもうのだが……。