Mobile World Congressは、携帯電話では世界最大のイベントである。ここには、世界中からのメーカーや事業者がやってくる。その中で、日本の企業の存在感があまり感じられなかった。これに対して、地元でもあるEU系の企業を除くと、目立ったのは中国系企業だ。
日本の事業者では、NTTドコモが展示会場に出展、また、KDDIの小野寺正会長兼社長が基調講演に登場した。また、ソフトバンクの孫氏は、GSMAが支援する1Goalプロジェクト(子供の教育のためのプロジェクト)の講演でのビデオ出演のみだった。
KDDIは、auでこれまではCDMA2000を採用、GSM系の団体であるGSMA(MWCの主催者でもある)には加盟していなかった。しかし、LTEの採用を決め、GSMAにも参加することになった。その意味では、GSMA/MWCでのデビューといえる。
ただ、海外展開を積極的に行う事業者と、国内のみに着目している事業者では、やはりこちらでのプレゼンスが違う。KDDIも最近では、au ICカードなどでGSM圏でのローミングが可能になったが、海外のGSM事業者のローミング先ネットワークにはなっていない。
LTEサービスが普及すれば、その可能性もあるだろうが、現時点では、LTEのローミングは、まだどこも行っていない。フィンランド、スウェーデンでTeliaSonera社がLTEサービスを開始しているものの、LTEのみのサービス(3Gを併用しない)で、いまのところローミングという状態でもない。講演では、小野寺社長自ら英語でのスピーチを行い、それなりには受け入れられていたようではある。
ドコモは、会場にブースを出展。こちらでも日本のローミング先ネットワークとして使われることが多いためにそれなりの知名度もある。ブースでは、LTEのデモや標準化活動などを紹介していた。
ドコモは、LTEを内蔵した端末をデモ。マシン自体はNEC製でAndroidベースだが、デモでは、Windowsのリモートデスクトップを使い、LETの遅延が小さいことを見せた |
参考出品のLTEアダプタ。Expressカードで、実際にPCに接続して通信のデモを行っていた。ベースバンドのデバイスは、ドコモがメーカーと共同開発したもので、3Gの通信も可能になっている |
日本の端末も展示していたが、メーカーが海外展開していない状態では、いかに端末が優れていても「絵に描いた餅」のような状態だ。受けていたのは、目でコントロールするヘッドホンのデモだ。日本ではCEATECなどでデモを行っていたものだが、こちらでは初めて公開され、地元のテレビ局なども取材していたようだ。
昨年の大きな話題はLTEで、日本メーカー各社も基地局などのハードウェアの展示をおこなっており、それなりの存在感があった。また、昨年末にフィンランドでTeliaSonera社がLTEサービスを開始、日本国内でも年内にはサービスが開始される。
そういうわけで今年は、LTEに関しては、一段落という状態で、基地局や携帯ネットワーク側の機器の展示はそれほど目立たない。ないわけではないが、現行製品のような扱いで、大きな話題になってはいないのである。