――「田西は、好きな女性とうまくいっていないのに、さもうまくいっているように嘘をついて見栄を張ってしまいますが、同じ男性としてこんな行動は身に覚えがありますか?」

峯田 : 「あぁ……僕はそんなんばっかりですね」

三浦 : 「もちろん、多々ありますよね。女の人にはわからないかもしれないけど、男だったらああなるんですよ(笑)」

峯田 : 「それこそ、見栄張って大ボラを吹くところとかは、本当に身に覚えがありますからね。僕もよくホラ吹いたんですよね……。連載で原作を読んでるときから『僕のことを描いているのだろうか?』と思うところが多々あったので、田西にすごく感情移入できた(笑)。ただ、後半で好きな女性を傷つけた男にケンカ売って、引き返せなくなっちゃって決闘しに行くとこはすごいと思うんですよね。僕だったらたぶん『やっぱ嘘でした。ゴメン!』って言って逃げ出しちゃってると思うんですけど。だから田西は理想なんですよね」

――この作品を、特にどんな人に見て欲しいですか?

三浦 : 「田西は29歳で30代を迎える瀬戸際。年は食ってるけど自分には何もないと思って焦りを感じてるんですが、まずはそういう同世代の男性に見に共感しながら見てもらいたい。でも、特に見て欲しいと思ってるのは女性なんですよね。男って普段、こんなことばっかり考えてるんですよということを描いているので、それを見てどう思われるか興味がある。男ってこんなものなんだというところをわかって欲しいですね。『男ってバカだな』という感想だけでもいいんですけど、見て何か思ってもらえればというつもりでこの映画を作ったんですよ。一見、野郎ばかりが見る映画のようですけど、女性にも楽しんでいただける要素はいっぱいあるエンタテインメントだと思います」

――ちなみに、実際にこの作品を見た周りの女性の反応は?

峯田 : 「僕の周りは特殊な女性ばっかりなので、一般的な女の人の反応はわからないですね(笑)」

三浦 : 「公開前に女性限定の試写会をやったんですけど、みんなおもしろがってくれてる印象は受けました。男についていろいろ言いたいことはあるみたいで。そんなふうに、映画を見て男について意見を交わしていただければうれしいです」

――田西を通して描かれる男性の赤裸々な生態や、知られると恥ずかしいようなネガティブな感情も、女性に知っておいて欲しい?

峯田 : 「なにもここまで出さなくても! ってとこですよね(笑)。でも、三浦くんにしかできない映画だと思うので、僕は参加できておもしろかったですね」

三浦 : まぁ、見ないふりして生きていきたい人もいるでしょうね(笑)。この映画は夢や希望だけを描いてるんじゃないので。ただ、醜さの果てにある爽快感というか、カタルシスを得られる映画だと思ってるので、見ていただければ新しい映画体験ができるんじゃないかなと思います」

なお、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は、東京 テアトル新宿、大阪 テアトル梅田、MOVIX堺、京都 MOVIX京都、神戸 シネ・リーブル神戸ほかで公開中。

(C)2010花沢健吾/「ボーイズ・オン・ザ・ラン」製作委員会