壁掛けもOK、設置方法を選べるボードPC
レノボといえばThinkPadシリーズの印象が強いが、企業向けデスクトップPCのラインナップも存在する。これまではセパレートタイプばかりだったが、初のボードPCとしてリリースされたのが「ThinkCentre Aシリーズ オールインワンPC」だ。省スペースかつ低消費電力であることを特徴としている。
背面の小さなスタンドを開き、斜めに立てかけるように設置するのはボードPCとしては一般的なスタイルだが、そのスタンドが金属の四角い枠だけというシンプルさが良い。試用機は無線LAN機能を搭載していたため電源ケーブル1本で設置できたが、周辺機器をUSB接続した場合でも開口部の大きなスタンドの内部を通すことですっきりまとめることができる。
本体の塗装はマット仕上げで、ディスプレイもノングレアタイプであるため、反射などを気にする必要もない。おしゃれさ、遊び心は感じられないが、実用的という非常にレノボらしいデザインだ。ディスプレイは16:10のワイドディスプレイを採用。これは従来比率を踏襲することで、レガシーアプリケーションを利用しやすくするための選択だという。
設置に必要な奥行きは、最少時で約185mm。スタンドを開き、寝かし気味に設置することもできるが、通常利用の範囲ならばかなり省スペースだといえる。そして、フロントに脚がないスタイルであるため、ディスプレイ位置がかなり低くなるのも特徴だ。オフィスチェアに座って使うと、若干見下ろしながら使う姿勢になる。ディスプレイ上部に内蔵されたウェブカメラとはちょうど正面から向き合うような状態だから、ウェブ会議などにも使いやすそうだ。また、背面スタンドで使うほかに、一般的なディスプレイのようなスタイルになるスタンドや、ディスプレイアームもオプションとして用意されている。他社製オプションを利用すれば壁掛け利用も可能になるという。
今回試用したのは、シリーズ中では最上位モデルとなる「1165AAJ」。OSはWindows Vistaの32ビット版全エディションと、Windows 7 Professional(32/64ビット版)、Windows 7 Home Premium(32ビット版)のほかに、Windows XP Professionalが選択肢にあるのだが、試用機にはWindows XP Professionalが入っていた。アプリケーションもほとんど入っていないだけに、起動は約28秒と素早い。さすが軽いOS、という印象ではあるが、Windows 7を選択しても軽快さは確保されそうだ。このシリーズは、レノボがWindows 7向けにシステムを最適化し、起動時間短縮などを実現する技術「Windows7 Lenovo Enhanced Experience」に対応しているのだ。
エコ配慮でエコバッグが付属
インターフェース類は右側面と背面に配置されている。フロントには電源ボタンとウェブカメラだけがある非常にシンプルなつくり。画面輝度の調整が、右手を伸ばして本体をつかむようにすると丁度触れる位置にあるボタンで行えるのも便利だ。
付属キーボードとマウスはワイヤレスだ。キーボードはテンキーつきの一般的なもので、幅は本体幅とほぼ同じ。マウスはなぜかミニサイズだ。天面がマット加工されており、ホールド感が良い。キーボードを収納できるタイプのスタンドではないため、映像鑑賞などをメインとしたいユーザーにとっては邪魔になるのかもしれないが、ビジネスユーザー向けと考えれば問題はなさそうだ。
省電力設計である他に、配送時の梱包箱を最小限とすることで環境に配慮していることもアピールされているが、内部梱包も面白い。箱内部での擦れを防ぐために、PC本体がビニール袋で覆われていることは多いが「Thinkcentre A70z」はエコバッグにくるまれているのだ。捨てるしかないビニール袋ではなく、不織布のバッグを使うことでリサイクルできるようにしている。本体がすっぽり入る袋は意外に丈夫で、持ち手も長く肩から担いで運ぶことも可能。オフィス内の移動程度ならば、移送用のバッグとしても問題なく使えるはずだ。もちろん、日常的にお買い物バッグとして使うこともできる。