米国時間11日、米MicrosoftはMac OS X版Officeの次期バージョン、「Office for Mac 2011」を発表した(「MS「Office for Mac 2011」の詳細発表 - リボン採用、.PSTをサポート」)。本稿では、この発表に際し現地にて行われた記者説明会の模様をお届けする。記者説明会は、マッキントッシュ ビジネス ユニット(MacBU)のシニア マーケティング マネージャ、アマンダ ルフェーブル氏とシニア・Macエバンジェリストのカート・シュマッカー氏の2人が行った。

マッキントッシュ ビジネス ユニット(MacBU)のシニア マーケティング マネージャ、アマンダ ルフェーブル氏と、シニア・Macエバンジェリストのカート シュマッカー氏(写真協力: drikin(Drift Diary XIII))

ファイルだけでなく、作業方法にも互換性

アマンダ ルフェーブル氏: 今回、年末にリリースするMac OS X版Officeの製品名は「Office for Mac 2011」になることが決まりました。今日は、ここでその概略といくつかの新しい機能を製品スクリーンショットを交えながら紹介できればと思っています。

「Office for Mac 2011」では、ファイルフォーマットをはじめ、コラボレーション方法、操作を含むユーザーエクスペリンスなどの互換性も最重要テーマ

Microsoft Officeは、Windows版を合わせると、世界に5億人のユーザーがいる製品です。Macユーザーの多くも週に1回はWindows版のOfficeを使っていることを考え、Office 2011では互換性を最重要テーマにしました。もちろん、これまでのOffice for macでも互換性は重要なキーワードでしたが、それはどちらかというとファイルフォーマットによる互換性の話でした。

新Officeでは、ファイルフォーマットはもちろん、「仕事のやり方」についても互換性を持たせました。これはコラボレーションの方法についてもそうですし、操作を含めたユーザーエクスペリンスについてもそうです。

Windowsとコラボレーションスタイルの互換性を実現

カート・シュマッカー氏: 新Officeでは、コラボレーションの方法にも互換性を持たせました。これは主にクラウド、つまりSkyDriveといわれるインターネット上のサービスや、我々が提供するMicrosoft SharePoint Serverというサーバーを使って実現します。

このように書類を自分のHDDに置くのではなく、クラウド上に置いて共有することで、1つの書類を複数の人で同時に編集することが可能になってきます。Mac OS X、WindowsといったOSの違いに関係なくコラボレーションができます。それにあわせて、我々はOffice 2011で「Co-Authoring」という機能を用意しました。これは複数の人が、同じ書類を同時に編集することを可能にする機能です。

実際にスクリーンショットで見てみましょう。この下にある吹き出しは、この書類がSkyDrive上に保存されていて、世界中どこからでもアクセスできる状態にあることを示しています。

画面下部にある"吹き出し"は、この書類データがSkyDrive上に保存されていることを示している

この左側に表示されている名前と線は、共同作業者の1人がこの段落を編集中であることを示しています。Co-Authoringでは、書類を編集中の段落単位でロックできるのです。

画面左側中央には、青色で強調された名前と、段落に沿った線が表示されている。これは、作業者の1人がこの段落を編集中であることを示している

編集内容が気になったら、名前の部分にカーソルを当てれば、メニューが表示され、その場で相手にインスタントメッセージを送ったり、メールを送ったりできます。我々は作業の流れが止まらないようにアプリケーションを切り替えなくこれができるように配慮しました。

皆さんの中には「Microsoft Office Web Apps」というサービスを聞いたことがある人がいるかもしれません。これはOfficeの主な機能をWebブラウザ上から利用できるようにしたもので、現在でもMacユーザーはSafariやFirefoxといったWebブラウザを使って利用できます。ただ、1つだけ使えない機能があるのです。

それは、「Wordで開く」といったメニューを使って、コンピュータ上にインストールしたOffice、Wordでクラウド上の書類を直接編集する機能です。

しかしOffice 2011 for Macでは、これが可能になります。「メニューを選ぶと、自動的に書類をダウンロードし、Officeアプリケーションが開く。するとCo-Authoring機能が有効になり、作業後の書類はクラウドに保存し直す」ということが可能になるのです。

そうなれば、書類を電子メールで送受信して、ファイル名に日付を加えたり、「最終版」「今度こそ最終版」と書き添えたりする日々は終わるのです。書類はクラウド上に保存され、ユーザーはこうしたバージョン管理から解放されるはずです。

コラボレーションする場合だけでなく、個人作業も大きく変わるでしょう。週末に家でやろうと思っていた仕事をコピーし忘れたからといって、わざわざ会社に戻る必要がなくなるからです。