1991年~1995年価格改定ラッシュ、現在の人気商品もお目見え

1991年12月22日午前8時4分――。マクドナルドは外食産業として初めて年商2,000億円を達成する。1992年には来店者総数が50億人を突破。1994年は12月に全店の1日あたりの売り上げが14億円を突破。この好成績の一方で、実は商品の価格は下がり、"お財布に優しいマクドナルド"になっていく。

1992年はハンバーガーが50億人突破記念セールで20年前と同価格の100円になった。1994年もクリスマス時期限定でハンバーガー100円、チーズバーガー120円に。1995年は「ベーコンレタスバーガー」「ベーコンマックバーガー」「チキンマックナゲット」を期間限定で半額にした。事前に情報を得た人がトクをするという傾向は、2003年にスタートする「トクするケータイサイト」へ継承されていく。また、1995年から子供向けのおまけ付き「ハッピーセット」がスタート。ファミリー層の人気を不動にする。

「チキンタツタ」

「月見バーガー」

「ベーコンレタスバーガー」

「グラタンコロッケバーガー」

2009年に復活し好評だった「チキンタツタ」の登場は1991年。生姜醤油の風味に千切りキャベツの食感、ふんわりとスチームされたオリジナルのバンズ等が好評だった。2008年にオリコンが集計した「復活してほしいファストフードのメニュー」で、2位を引き離して堂々のトップとなっている。

秋の定番商品というべき「月見バーガー」も1991年から。たまごとジューシーな100%ビーフパティに、スモーキーなベーコンの組み合わせはボリューム感たっぷり。同じく1991年に登場した「ベーコンレタスバーガー」はビーフパティにたっぷりのレタスとベーコンとチーズをはさみ、シーザーサラダソースを組み合わせた奥深い味。

1993年に登場した「グラタンコロッケバーガー」はマカロニとエビが入ったコロッケをはさんだクリーミーな逸品。現在も冬限定メニューとなっており、「秋の月見の次は冬のグラコロ」が定番化。そろそろ俳句の季語になってもいい?

1996年~2000年 期間限定商品盛りだくさん、毎月違う味

1996年4月、日本マクドナルド1,500店目となる銀座4丁目店が誕生する。日本マクドナルド創業の地である銀座にマクドナルドが帰ってきた。これを記念して、日本マクドナルドは第1号の開店日にあたる7月20日を「ハンバーガーの日」と制定する。ハンバーガーの日は制定以降、銀座三越1階に当時のマクドナルド店舗を再現したり、特別セールが開催されているという。

この頃からマクドナルドでは期間限定商品の登場頻度が高くなり、ほぼ毎月のように新しい味、懐かしい味に出会えるようになった。しかし、残念ながら銀座4丁目店は2003年に閉店されてしまった。

1999年には、マクドナルドの社会貢献活動として財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが設立される。病気と闘う子どもたちと家族のための宿泊施設で、現在は国内に6カ所。運営は個人や企業の寄付金で行われている。

「てりたまバーガー」

「ホットアップルパイ」

商品に目を向けると、「てりたまバーガー」が1996年、「グリルビーフバーガー」は1997年、「かるびマック」は1998年、「ホットアップルパイ」は1999年の期間限定メニュー。この他にもバーガー類として、「ジューシーダブルマック」「ベーコンフレッシュバーガー」「レタペパバーガー」「トリプルマック」「クラブハウスマック」、サイドメニューからは、「イタリアンピザパイ」「パイナップルパイ」「マロンカスタードパイ」「ふかふかアイスバーガー」「アイスシューケーキ」など、多数の期間限定メニューが登場した。

2001年~2005年 世界共通キャンペーン「i'm lovin' it」時代

21世紀のマクドナルドも期間限定メニューのニュースで始まった。2001年1月には「サーモンマック・ムニエル風」「洋梨クランベリーパイ」が登場。以降も「てりやきチキンカツバーガー」「アジアンダブルマック」など新メニュー、期間限定の復活メニューが続く。

一方、定番メニューを中心に「なっ得バリュー」「Smart Saving」などのおトクなプロモーションを展開した。2002年10月には現在のバリューセットの始まりとなる「マックチョイス」が始まった。セットメニューのサイドメニューとドリンクの組み合わせを自由に選べるシステムで、当時は510通りの選択肢ができた。

現在のマクドナルドのキャンペーンフレーズ「i'm lovin' it」は2003年からスタート。これは日本だけではなく世界のマクドナルド共通の言葉だ。米国では1999年からオーダーメイド調理システム「メイド・フォー・ユー」を導入しており、従来の「注文予測作り置き」から「迅速な注文生産」への転換で、いつ注文しても「できたてのおいしさ」が楽しめるようになった。「i'm lovin' it」は、そんな品質向上への取り組みを受けてのキャンペーンだと言える。なお、「メイド・フォー・ユー」は日本でも2005年に導入が完了している。

「マックピタ」

「トマトチキンフィレオ」

2001年に登場した「マックフルシェ」はマックシェイクにフルーツをトッピングしたデザート。同年に登場した「マックピタ」はピタパンに焼肉と野菜が入ったサンド。「かるびマック」に続く焼肉メニューは、韓流ブームの影響だろうか。2002年の「チキンカツバーガー」は久々の和風メニュー。揚げたてのチキンが美味と人気を集めた。2004年の「トマトチキンフィレオ」はトマトを使ったヘルシーメニューで、主に女性の支持を得たようだ。

2006年~2010年 ビーフパティメニューの拡充とネットワークの時代

2006年からマクドナルドは、ドライブスルー店舗を中心に24時間営業の店舗を増やした。2007年からは「プレミアムローストコーヒー」が登場。この組み合わせは生活スタイルの異なる多くの人々に歓迎された。また、環境貢献活動としてレジ袋・紙ナプキン削減キャンペーン(2007年)、食品廃棄物のリサイクルを推進(2008年)、客席照明にLEDを全面採用した店舗(港北ニュータウン中川店、2009年)が「平成20年度省エネ照明デザインモデル事業」に選出されるなど、様々なの取り組みを開始した。

一方、1997年に開設したホームページに加えて、2003年からは携帯電話による「トクするケータイサイト」会員への「見せるクーポン」の提供を開始。2008年からはおサイフケータイ機能を使った「かざすクーポン」の配信がスタートした。さらに2009年からはニンテンドーDSのWi-Fiコネクションを利用した「マックでDS」のサービスを開始している。店舗内でゲームの追加データを配信するほか、マクドナルド商品が当たるオリジナルゲームを楽しめる。

メニュー面では「メガマック」の誕生と「クォーターパウンダー」の再登場がインパクト大。今まではビーフ以外の新商品や期間限定商品が多く登場していたが、最近はマクドナルド本来の「100%ビーフのおいしさ」を最前面に押し立てている。

「えびフィレオ」

「メガマック」

「プレミアムローストコーヒー」

「マックホットドッグ クラッシック」

来年はいよいよ40周年

2010年現在、日本マクドナルドは「Big America」キャンペーンを実施中だ。「クォーターパウンダー」の1/4ポンドビーフパティを使い、新たなバンズと具材を使用した4つの期間限定メニューを順次展開し、食事時のマクドナルドに長い行列ができるほどの人気となっている。このキャンペーンでは「おサイフケータイ」とも連動しており、かざすクーポンでそれぞれのメニューを購入すると、各メニューのスタンプ(データ)を貰える。4つ揃えると「クォーターパウンダー・チーズセット」が割引になるクーポンを10枚貰える。

「Big America テキサスバーガー」

「Big America ニューヨークバーガー」

「Big America カリフォルニアバーガー」

「Big America ハワイアンバーガー」

このような、店頭とネットワークを連動させた取り組みは今後も続くと思われる。何も知らないでお店に行くより、携帯やネットで割り引き情報を調べたほうがトクだ。「Big America」でも、「かざすクーポン」でスタンプが貯まる楽しさが加わった。さて、40周年を迎える来年はどんなイベントが開催されるのだろうか。いまから楽しみだ。