Appleが3度にわたって異議申し立て期間の延長を申請したのは、iPad発表を先に済ませたかったからだろう。発表前に異議申し立てを行えば、製品名やそのコンセプトが漏れる可能性が出てくる。発表後ならば、FujitsuのiPADに対する自身の立場を自由にアピールできる。またiPadはiPodシリーズを持つAppleが送り出す製品で、グローバル規模で注目される。だからAppleが優先されるべきというのは道理ではないが、対してFujitsuは一度申請プロセスへの対応を誤り、特許商標局から放棄と見なされた失点がある。
それに、必ずしもFujistuとの間の商標権争いに発展するとは限らない。IPADという商標はほかにも、MagTekという会社がPOSターミナル用端末で申請しており、こちらは08年4月に認められている。同社のグローバルマーケティング担当VPであるAndy Deignan氏は業務用製品である同社のIPADと、コンシューマ向けタブレットであるAppleのiPadの間で商標権が問題になる可能性は極めて低いという見解を示している。AppleのiPadと最も衝突しそうなのはFujistuのiPADだが、そのFujitsuのiPADも業務用である。ほかにも自動車部品、キッチン用の研磨パッド、医療機器、コンサルティングサービス、ブラジャーのパッドなどいくつかのIPADが申請されているが、いずれもIT機器ではなくAppleとの間で問題が生じることはなさそうだ。
期限は2月28日
Appleは周到にiPad発表後まで異議申し立て期間を延長しておいたが、そもそもFujitsuのiPADに対して異議を唱える必要があるかも議論の余地がある。ただ、Appleの横やりでFujitsuの商標登録は約半年も宙ぶらりん状態が続いている。それにこれだけ騒ぎが広がれば、Appleもあいまいなまとめ方では済ませられないだろう。Fujitsuとの協議になるかもしれないし、または異議申し立てに動くかもしれない。期限は2月28日だ。