Xbox/Xbox 360向けタイトルとして、全世界で高い人気を誇る「Halo(ヘイロー)」シリーズ。その魅力あふれる世界の歴史やエピソードを再構築し、アニメーションとして新たに描き出す『Halo Legends』が2010年2月16日に、Blu-ray&DVDとなって全世界同時にリリースされる。
10万年以上に渡るHaloサーガをベースに、地球、そして宇宙に広がった人間が住む惑星(植民地)を守る人類とエイリアンの戦争をドラマティックかつアクション要素たっぷりに描く『Halo Legends』は、クリエイティブ・スーパーバイザーとして、『APPLESEED』の荒牧伸志氏と『攻殻機動隊』の押井守氏を迎えているほか、各エピソードについては、日本を代表するアニメーション制作スタジオのトップクリエイターたちがディレクションを務めている。そこで今回は、『Halo Legends』において、2本のエピソードを手掛ける「スタジオ4℃」から、プロデューサーを務める代表取締役の田中栄子氏と、「Origins Part1&2」の二村秀樹監督および「The Babysitter」の菅野利之監督に、作品のポイントについて語ってもらった。
スタジオ4℃が挑む『Halo Legends』
――まずは、『Halo Legends』の話を受けるに至った経緯を教えてください
田中栄子氏「話が来たのは本当にある日突然ですね(笑)。ある日突然、、『Halo Legends』のキーとなる作品をぜひスタジオ4℃さんで作っていただきたいと、総監督のジョセフ・チョウさんからお話をいただいたんですよ」
――その際は、二つ返事で引き受けた感じですか?
田中氏「そのときは、二つ返事で『嫌だ』ですね(笑)。とにかく、内容がものすごく大変そうだったんですよ。我々が『Halo』という作品についてあまりよくわかっていなかったというのもあったのですが、制作期間も大変シビアだったので、その期間で確実に、そして自信を持って納品できる内容を選ばせていただけないかと。どちらかというと、ギャグテイストの、もうちょっと楽しい感じのものをやりたかったので、いろいろとボールを投げ返してみたんですけど、結局はすべて打ち返されてしまい(笑)、先方から要望のあった作品を作らせていただくことになりました」
――『Halo Legends』にはいくつかのエピソードが収録されていますが、内容については指定といった感じだったのですか?
田中氏「そうですね。先方にはいろいろなラインナップが用意されていたようなのですが、私たちがそれを見ることはなく、今回制作した2作品を提示されたという感じでしたね」
――実際に制作を引き受けるにあたり、監督として二村さんと菅野さんを選んだ理由はどのあたりにありますか?
田中氏「実際のところ、引き受けた段階で、二村監督と菅野監督でいくということは決まっていたんですよ。逆に言えば、この二人がやってくれるならできるだろうということで、お話を受けたというところもあります」
――この二人なら先方の要望に応えられるだろうというところですね
田中氏「あまり内容がわかっていないうえに、二村監督にしてみると、ものすごく膨大なボリュームになることだけはわかっていましたし、菅野監督の場合は、制作期間が非常に短かいということがわかっていたんですよ。そういったかなりの無理を承知のうえで引き受けてもらったのですが、始まってみたら、思っていた以上に大変でしたね(笑)。ただ、これはうちに限ったことではなかったと思います」
――スタジオ4℃さんでは、以前同じようなコンセプトで『アニマトリックス』という作品を手掛けていらっしゃいますが、そのときと比べると何か違いのようなものはありますか?
田中氏「『アニマトリックス』のときは、自分たちはこういったものが作りたいんだ、といったことをどんどんと投げていく、いわゆるキャッチボールの期間がけっこう長かったですし、実際の制作にもある程度の時間をかけられたんですよ。しかし今回は、制作期間が非常に短く、キャッチボールをする余裕もない感じでしたね」
――いきなり剛速球を投げつけられた、という感じですか?
田中氏「そうですね(笑)。なので、どんなものを作るかというよりも、この期間で、どうやったら良いものが作れるのか? ということが最初の、そして最大の命題となりました」