――役はイ・ジェハン監督と話し合いを重ね、きっちりと構築されたそうですね?
西島 : 「そうですね。各シーンの撮影前に必ず、監督はバックグラウンドや感情の流れを説明してくれました。ただ、どのシーンにも共通していたのは"常にただ幸せというわけでなく、どこかで破局することを匂わせたり、時間にリミットがある切なさだったりを全部表現してくれ"ということでした」
――混乱はしませんでしたか?
西島 : 「大変でしたけど、混乱はしませんでした。監督はそこを粘る方で、納得いくものが撮れるまではなかなかOKを出しません。そういう意味で、僕は監督に信頼を置いていましたし、俳優にとって、とても幸せな環境でしたね」
――実際、西島さんが演じられた豊からは煮え切らなさも含め、いろんな感情が伝わってきて、「男ってこうだよな」って何度も頷いてしまいました。
西島 : 「そう、豊は決して"仕事がすごくできて、素敵なフィアンセがいる"というだけの人物ではないんですよね。男の身勝手さ、ずうずうしさ、煮え切らなさ……人の理屈では計れない余分なところがたくさんある役なんです。僕の中では、そういうすごく人間臭い部分を演じたいという気持ちは強かったです。ですから、そういう風にちゃんと映っていたのなら、すごく幸せなことです」……続きを読む