昨年末、AdobeからフルHDストリーミング映像の再生時にGPU搭載のハードウェア・デコーディング機能が利用できる「Flash Player 10.1β版」がアナウンスされた。そこで、今回は、10.1β版をサポートする「NVIDIA ION」を搭載するノートPCで、これがどの程度PCライフを快適にするのかを検証してみた。
ますは検証に用いるNVIDIA IONノート、ドスパラの「Prime Note Cresion NA」を紹介しておこう。Prime Note Cresion NAは比較的小さなボディ、そしてDVDスーパーマルチにOS無しという構成で5万円を切る、ネットブックに匹敵する低価格ノートだ。とはいえこの製品、スペックを見ていくとネットブックとはかなり違う。CPUはデュアルコアのIntel Atom 330。液晶ディスプレイはやや大型な12.1型ワイド。光学ドライブにはブルーレイROM(DVDスーパーマルチ機能付き)ドライブを搭載することも可能だ。ネットブックというよりは実用ノートといったイメージである。
ボディおよび液晶天板はピアノブラック塗装。インタフェースはUSB 2.0×3やLAN、モデム、そしてディスプレイ出力にはD-Subに加えHDMIも搭載している。本製品の液晶ディスプレイ解像度は1,366×768ドットなので、ほぼ720p HD相当。しかしHDMIを搭載しているため、例えばフルHD対応のテレビをお持ちであれば、そこにブルーレイ映像やフルHD対応のYoutube映像などを映し出して楽しめるわけだ。
本体右側面には光学ドライブ(DVDスーパーマルチ)に加えHDMI端子も装備している |
NVIDIA IONのプラットフォームはメモリ性能もネットブックを上回る。DDR2-SODIMMスロット×2本で最大4GBまで搭載可能なうえ、動作モードはデュアルチャネルにも対応している |
■主な仕様 | |
CPU | Atom 330(1.6GHz:デュアルコア:HT対応) |
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チップセット | NVIDIA ION |
メモリ | 2GB(最大4GB) |
HDD | 320GB(5,400rpm/SATA/2.5インチ) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
グラフィックス | IONグラフィックス |
ディスプレイ | 12.1型ワイド(1,366×768ドット) |
サイズ/重量 | W305×D225×H37.5mm/約1.92kg |
OS | 無し(検証ではWindows 7を別途導入) |
価格 | 49,980円(税込) |
では肝心のFlash Player 10.1βの話題に移ろう。とはいえまずはAdobeのリリースノートをざっくり見ていきたい。
Flash Player 10.1βの対応OSはWindows XP(32bit)、Vista/7(32/64bit)。Flash Player 10.1β自体にはLinuxやMac OS X版などがあるが、GPUアクセラレーションに対応しているのは、現時点でWindows版のみのようだ。GPU側のハードウェア要件は、NVIDIAであれば「PureVideo HD」、ATIであれば「UVD2」、Intelであれば「Clear Video Technology」以降のHDビデオ再生支援機能を搭載したGPUとなる。具体的には、NVIDIAがGeForce 8000シリーズ以降(デスクトップ/モバイル/統合GPU)およびION、ATIがRadeon HD 4000シリーズ(デスクトップ/モバイル)および一部3000シリーズ統合GPU、Intelは4シリーズ以降のチップセットとなる。いちおうVIAのIGP(S3)にもHDビデオ再生支援機能が搭載されていたはずだがリリースノートでは触れられていないほか、GPUではないが対象のチップとしてBroadcomの「BCM70012」チップが記載されている。
さて、ネットブックに採用されているIntel 945GME Expressチップセットと、それに統合された「Intel GMA 950」グラフィックはというと、Flash Player 10.1βのGPUアクセラレーションには対応していない。つまりデコード処理はCPUが行うわけだが、もちろんフルHDのデコード処理にAtomではパフォーマンス不足。なお、最新Atomに統合された「Intel GMA 3150」グラフィックに関してもHDビデオ再生支援機能は備えていない。結局、AtomノートでHDビデオを楽しもうとなると、NVIDIA IONのようなソリューションが必要となってくる。