ネットブック向けアプリストアを開設、Atom搭載スマートフォンも
講演の話題はモバイル分野に移った。まず、PC分野における話題としては、Atom搭載PCの発売から約1年半が経過し、これまでに4,000万台以上のネットブックが出荷されたことが紹介された。Otellini氏はネットブックを指して「もともとは教育用として設計されたものだが、現在ではセカンドマシンや旅先への携帯用、新興市場向けの製品」になったものと説明する。昨年末には、Pine Trailの開発コードネームで呼ばれていた新世代のAtomプラットフォームが発表され、それ以降今回のCESに向けてPCメーカー各社が搭載背品を発表してきた。
そしてOtellini氏は「ネットブックはコンピューティングにおける新たな利用モデルを創造した。それはすなわち、アプリケーションソフトに新たな可能性を開く」と続け、アプリ配信サービス「Intel AppUp center」のベータ版をオープンしたことを紹介した。
AppleがiPhone/iPod Touch向けに開始した「App Store」の成功以来、アプリ配信の枠組みがかつてない注目を集めている。AppUp centerは、この流れを受けてIntelが用意したAtom搭載デバイスのためのアプリストアで、昨年秋のIDFで発表された「Atom Developer Program」の一環として提供されるものだ。ネットブックユーザーにとってはアプリの検索や導入がより簡単になるといったメリットが、そしてアプリ開発者にとってはビジネス機会の拡大が期待できる。
サポートOSはWindowsおよびMoblin。AppUp centerへは専用クライアントソフトを通じてアクセスする仕組みになっており、クライアントソフト上からアプリの検索、購入、インストールなどが行えるようになっている。Acer、Asus、Dell、Samsungがパートナー企業として挙げられており、各社の今後のネットブックにクライアントソフトがプリインストールされていくとみられるが、UI部分はカスタマイズ可能となっており、ストアの見せ方は各社が独自に決めることができるという。
Intel自らがアプリ配信の仕組みを用意した背景にあるのは、決してネットブックだけではない。続いてOtellini氏が紹介したのが、Moorestown(開発コードネーム)プラットフォームを採用したAtom搭載スマートフォン「GW990」(LG製)で、AppUp centerはむしろこのような新たなフォームファクタのデバイスをにらんだものとも考えられる。
GW990は4.8インチ(1,024×480ドット)の大画面を備えており、現在スマートフォンと呼ばれている製品に比べるとかなり大振りに見える。詳細な仕様はまだ公開されていないが、OSにMoblin 2.1を採用するほか、マルチタッチ対応の画面、加速度センサー、電子コンパス、500万画素カメラなどを搭載するという。
HD動画や3Dゲーム、従来のスマートフォンには重荷だった大容量Flashコンテンツなどを楽しむことのできるデバイスといい、インターネットをフルに利用するためにはIntelアーキテクチャが不可欠とする同社の主張に沿う形で披露されたものだが、コンセプトモデルではなく商品化を前提として開発された製品であり、今年後半の発売を予定しているという。