--2010年におけるキーワードを挙げるとすればなんですか?
杉山:2010年におけるチェック・ポイントのキーワードは、「仮想化」になると考えています。企業ではサービスコスト、オペレーションコストを削減しようという動きがあるものの、IPトラフィックやアプリケーションの増加によりサーバ台数は増える傾向にあります。このような状況のなかでセキュリティの強化を実施しながらコストは抑えるには、どうしても仮想化への取り組みが必要となります。チェック・ポイントでは、エンタープライズにおけるゲートウェイの仮想化ソリューションとしてVSX-1やVPN-1 Power VSXを用意しており、VMwareの仮想マシンで動作するVPN-1 VEもラインアップしています。いまや、ゲートウェイにおけるセキュリティは当たり前ですが、同様に、VMware対応をはじめとする仮想化も必須要件となりつつあるのです。 また、2010年は仮想化に加えて、コスト削減、統合といった点もキーワードになるでしょう。先に触れたように、セキュリティ投資に対しても経済合理性が求められています。この見直しがはじまると、セキュリティマネジメントに対する強度が最大の関心事になります。かつて、ネットワークオペレーションのマネジメントに関心が集まったのと同じことです。ここでも、チェック・ポイントの強みが発揮できます。
--チェック・ポイントの強みはどこにありますか?
杉山:堺屋太一氏の著書である「凄い時代 勝負は二〇一一年」のなかでは、工程分業の時代の到来が指摘されていますが、これはネットワークセキュリティの世界でも同様であるといえます。また、チェック・ポイントも工程分業のなかにおいて、専門性を発揮している企業だといえます。
チェック・ポイントは、セキュリティ技術におけるイノベーティングリーダーであり、セキュリティアーテキクチャーのスタンダードを提供し続けているベンダーです。約2000人の社員のうち、1000人が技術者です。そして、これらの技術者がセキュリティに専念していることからも、それがわかっていただけるのではないでしょうか。
チェック・ポイントは、すべてのIPプロトコルとメッセージのパターンを認識、蓄積している実績ではナンバーワンです。そして、インターネットに接続する端末は、すべてIP端末です。サーバも、PCも、携帯電話も、デジタルテレビも、場合によってはデジタルカメラもIP端末となる。また、ネットに接続するすべてのアプリケーションが、IPアプリケーションとなります。
このようにIP端末、IPアプリケーションが多岐に広がるなかで、大手企業顧客や中堅・中小企業といった規模によって求められるセキュリティレベルの違い、政府や金融機関といった業種によって求められるセキュリティ要件の違いが出てきます。
しかし、これをひとつひとつ手作りで対応していくには無理があります。また、ひとつのセキュリティアプリケーションですべてに対応することは不可能です。こうしたセキュリティベースラインの多様化に対するチェック・ポイントの回答が、ブレードということになります。ここでも、チェック・ポイントの強みが発揮できると考えています。
また、セキュリティマネジメントの分野では、チェック・ポイントは、Smart-1や各種セキュリティ管理機能を持つセキュリティ管理 Software Blade といった管理ソリューションを提供していますが、これも当社が大きな強みを発揮できる領域といえます。ここでは、標準設定でどれだけ強いセキュリティを構築できるかがポイントとなりますが、ポリシー設定の多様さ、深さ、変化の容易性、使い勝手の良さといった点ではチェック・ポイントの強さは圧倒的です。これがセキュリティ強度に連動することになります。
それらを測る指標として1点挙げると、ゲートウェイセキュリティ製品を提供しているベンダーは、各社とも別途マネジメントソフトを用意していますが、これを追加購入して使っているユーザーは10%程度といわれています。これに対して、チェック・ポイントの場合には90%のユーザーが使っています。ユーザー企業に、「最近、セキュリティポリシーを変更しましたか?」という質問をするといいですよ。設定を変更したと回答したユーザーは、だいたいチェック・ポイントを導入しています。チェック・ポイントのシェアは上昇するものの、下がらないという理由はここにあります。2010年はこの動きがもっと顕在化すると考えています。
一方で、他のベンダーとの協業、サポート専門会社との協業を展開していますが、これも工程分業の形だといえます。こうした世の中の変化に対応した体制でないと、高い利益率は得られません。工程分業へと変化するなかで、チェック・ポイントの立ち位置は、極めてユニークなものだといえます。