接写機能を比較

次に接写機能を比較するため、蛍光灯照明の屋内で500円玉をできるだけ大きく撮影した。SH003はマクロモードによる接写に対応するが、ピントが合う最短距離まで近づいても画面上での大きさは光学ズームを使えるCOOLPIX S500に及ばなかった。

マクロ撮影の作例(SH003)。500円玉自体は非常に綺麗に撮影できているが、背景の布地に注目すると、布目が目立たなくなっている

マクロ撮影の作例(COOLPIX S500)。SH003の画像と比べると非常にはっきり500円玉と布目が写っているのがわかる

暗所撮影能力を比較

暗い場所での撮影はどうだろうか。夜間イルミネーションの作例で比較してみた。SH003は全体に明るく被写体の暗部が判別しやすいが甘い写り。COOLPIX S500は暗部が沈み込んだくっきりした写りになった。

夜間イルミネーションの作例(SH003)。明るく鮮やかに写るようになっており、全体的に幻想的な印象を受ける

夜間イルミネーションの作例(COOLPIX S500)。目で見た印象に近い

フォトライトを比較

暗い屋内でフォトライト(フラッシュ)を使用した作例も見てみよう。画質自体はCOOLPIX S500のほうが良いのだが、SH003のフォトライトは予想以上に使いやすかった。COOLPIX S500のフラッシュと違ってSH003のフォトライトは常に発光しているため、暗い場所では構図が決めやすいのである。明るさもLEDとしては十分と言えるレベルだ。

フォトライトを使用した作例(SH003)。全体画像を縮小してみれば綺麗に見えるが、実際には右側の等倍ではかなりぼやけた画像であることがわかる

フラッシュを使用した作例(COOLPIX S500)。鮮明さやノイズなど、画質自体はこちらに分がある

SH003の最大感度ISO12800における作例。とりあえず写るという程度。過度の期待は禁物でなるべくフラッシュを使ったほうがいいだろう

ケータイカメラならではの連携機能

ここまで、SH003(AQUOS SHOT)とコンパクトデジタルカメラを比較してきたが、やはり画質ではデジタルカメラ(COOLPIX S500)に及ばなかった。

しかしSH003は、携帯電話ならではの連携機能を搭載する。通信機能を最大限に生かした「ブログアップ」、カメラで撮影した文字を読み取って携帯電話に登録する「名刺リーダー」や「情報リーダー」、カメラで撮影した画像からデコメ絵文字を作成する「絵文字メーカー」などの機能が利用可能だ。

ブログアップで写真を簡単送信(左)、カメラで撮影した画像から絵文字を作る絵文字メーカー(右)

さらに、ケータイサイトと連携することで機能拡張ができる点もWebブラウザを搭載した携帯電話のメリットと言える。ケータイサイトを利用することで、カメラで撮影した画像を送信するだけで証明写真を作成したり、撮影した写真をネットで簡単に公開することができる。これは、通信機能を搭載しないデジタルカメラにはない魅力だ。

ケータイカメラで証明写真を作成できる「ケータイプリン」(左)、ケータイカメラの写真を公開できる「携帯百景」(右)

画質の優劣だけならコンパクトデジカメより劣るSH003のカメラ機能だが、日常のスナップやブログ投稿用の写真を撮影するには十分なレベルだ。ケータイメールに添付する写真をきれいに撮りたい人にもおすすめできる。なにより、「ブログアップ」や「名刺リーダー」などの連携機能やケータイサイトを活用することで、コンパクトデジカメにはできない使い方ができる。これらの連携機能は、コンパクトデジカメにはない強みといえるだろう。