シャープの「AQUOS SHOT」シリーズは、カメラ機能を重視した携帯電話だ。同シリーズ2009年冬モデルでは、約12メガピクセルというコンパクトデジタルカメラ並みのセンサーモジュールを搭載したモデルが登場した。本稿では、au向けに用意されたAQUOS SHOT『SH003』(シャープ製)を使って同シリーズのカメラ機能の実力を紹介する。
タッチパネルを活かしたカメラ機能を搭載
まずは「SH003」がどういった携帯電話か簡単に紹介しよう。形状は2軸回転型ヒンジを搭載した折りたたみ型。12.1メガピクセルのCCDカメラを搭載し、顔認識や被写体の自動追尾、シーン自動判別など豊富な撮影機能を搭載する。対応サービスなど細かい仕様などはこちらの記事を参照して欲しい。
ディスプレイは3.4インチタッチパネル液晶を搭載しており、カメラ機能はこのタッチパネルを最大限に活かしたものになっている。画面タッチだけでシャッターや機能設定などの基本操作を行うことが可能だ。
レンズは焦点距離5.07mm(35mm換算で28mm相当)の単焦点レンズを搭載。光学ズームには対応していないが、撮影サイズを自動的に変更しながらズームアップするスマートリサイズズーム機能を備える。背面にはLEDフォトライトを搭載しており、暗い場所で撮影する際に利用できる。最大ISO12800までの高感度撮影にも対応する。
SH003とコンデジの画質を比較
さて、充実したカメラ機能を搭載するSH003だが、そのカメラの実力はどの程度なのだろうか。筆者自前のコンパクトデジタルカメラと比較したので紹介しよう。
比較用に用意したのは2007年に発売された1/2.5型原色CCDの有効710万画素のニコン製カメラ「COOLPIX S500」。最新機種で比較しないのは、「最近SH003を購入したが、今まで使っていたコンパクトデジタルカメラを置き換えられるか検討したい」というケースを想定しているためだ。
特に記述しない場合、撮影はフルオート、保存画質は最高に設定している。まずは撮影しやすい明るい屋外での作例を比較してみた。
日常的なスナップ撮影であればSH003でも十分な画質で撮影できると言えるだろう。ただし、ピクセル等倍で比較するとディティールを残しているCOOLPIX S500に対し、SH003は細かい部分が塗りつぶされているのがわかる。
続いてズーム機能の作例だ。SH003のデジタルズームとCOOLPIX S500の光学ズームを同一画角にて比較した。
明るい屋外の作例(SH003・スマートリサイズズーム)。COOLPIX S500の光学ズーム望遠端(35mm換算で105mm相当)と同程度の画角にした場合、スマートリサイズズームでは画像が640×480ピクセルになる |
SH003のスマートリサイズズームを利用して撮影した場合、やはり絶対的な画素数の不足は否めず細部の描写が劣化する。スマートリサイズズームに光学ズームと同等の画質を期待してはいけないだろう
さらに、インクジェットプリンタ(EPSON PM-A890)でL版の写真用紙に印刷して、写真としての画質を比較した。
SH003で撮影した写真を印刷する場合は、画素数を最大限に使える広角で撮影するのが良いだろう。しかし、スマートリサイズズームによる情報量の低下もL版程度のサイズでは大きく目立たなかった。ある程度解像度の劣化を許せるのであればスマートリサイズズームを利用するのも良いだろう。
また、ブログなどパソコンでの活用するのであれば、スマートリサイズズームの最小サイズ(640×480ピクセル)でもパソコン画面上では十分な大きさになる。利用目的によってはスマートリサイズズームも十分実用できる機能と言えるだろう。