メモリ技術ではMEMS技術とCMOS技術を融合させた新しいメモリに関する講演を紹介した。KAISTが考案した(講演番号27.2)。MEMS技術で移動可能な薄い板(フィン)をSi上に作製し、フィンの両端に少し離れてゲート電極を設けた。2個のゲート電極による静電力でフィンを動かし、2値のデータを記憶させる。例えばゲート1にフィンを近づけたときを「1」、ゲート2にフィンを近づけたときを「0」とする。
試作したデバイスは1,000回を超える書き換え寿命を備え、1万秒を超えるデータ保持時間(フィンが元の位置に戻るまでの時間)を備えていた。技術改良によってデバイスの性能はさらに向上できる見込みだ。
メモリ技術ではさらに、次世代のNAND型フラッシュメモリ技術に関する講演を紹介した。NAND型フラッシュメモリのセルトランジスタを縦に積み重ねることで記憶密度を飛躍的に向上させる技術である。東芝が2年前に発表し、技術改良を重ねてきた(講演番号27.3)。
1Gビットのセルアレイを試作し、動作を確認している。記憶原理はフローティング・ゲートではなく、酸化窒化酸化膜(ONO膜)によるチャージ・トラップである。ソースとドレインを非対称にすることでゲート誘起ドレイン・リーク電流を低減した。また制御ゲートにサリサイドを導入し、シート抵抗を2桁低減してRC遅延を1桁短縮した。